500万円の投資に適した12の方法を比較!それぞれのメリット・デメリットは?
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目次

  1. 500万円を投資する前に押さえておきたい3つのポイント
  2. 500万円の投資に適した12の方法を比較!特徴・メリット・デメリットを解説
  3. 500万円を投資に回すと将来いくらになる?
  4. 500万円を1,000万円にするために投資に要する期間は?
  5. まとまった金額を投資する場合は、目標額と期限の明確化が重要

500万円前後、あるいは500万円以上の資金をどのような方法で運用するか迷っている人もいるかもしれません。

本稿では、500万円を投資する前に押さえておきたいポイントや、まとまった資金の投資に適した12の方法の特徴とメリット・デメリットについて紹介します。

この記事を読むことで、自分に合った投資方法を見つけやすくなるでしょう。

500万円を投資する前に押さえておきたい3つのポイント

500万円を賢く運用するためには、投資の基本を意識することが重要です。

これにより、自分の目標に合った投資を実行しやすくなります。なかでも重要性が高いと考えられる投資の基本は、以下の3つです。

500万円を投資する前に押さえておきたい3つのポイント

1.単利と複利

500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの1つ目は、「単利」と「複利」の違いを認識することです。

一般的に効率的な運用を考えた場合は「複利」を選ぶのがよいでしょう。

単利元本に対して得られる利益
複利元本に加えて投資で得た利益を再び投資して生み出す利益

・単利:元本で得た利益
単利とは、元本に対して得られる利益のことを指します。

例えば500万円の元本で単利による投資を始めた場合、利回り5%であれば1年で得られる利益は25万円です。

単利の場合、翌年以降も同じように500万円を投資に回して25万円の利益を得ていきます。

・複利:元本+利益で得た利益
複利とは、元本に加えて投資で得た利益を再び投資して生み出す利益を指します。複利では「元本+利益」で利回りが得られるため、効率的な運用が可能です。

例えば500万円の元本を利回り5%で運用した場合、複利と単利では以下のような差になります。

投資方法得られる利益(累計)
単利(年利回り5%)1年目:25万円
10年目:250万円
20年目:500万円
30年目:750万円
複利(年利回り5%)1年目:25万円
10年目:約314万円
20年目:約827万円
30年目:約1,661万円
※1年複利で計算した場合
※税金は考慮せず

500万円の投資を単利と複利で比較した場合、30年目の利益差は約911万円になります。

2.分散投資と集中投資

500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの2つ目は「分散投資」と「集中投資」の違いを意識することです。

分散投資リスクを軽減しやすい
集中投資ハイリターンを狙いやすい

これらは、どちらが良い悪いという類のものではありません。あくまでも自分が重視する投資対象に合わせて選ぶことが重要です。

・分散投資:リスクを軽減しやすい
分散投資では、資金を複数の資産に分散して運用していきます。

この手法は、投資の初心者やリスクの軽減を重視する人向きです。分散投資には「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つの分散があります。

分散方法内容
資産の分散値動きの異なる資産や銘柄を組み合わせる
地域の分散特性の異なる地域・国の資産や銘柄を組み合わせる
時間の分散値動きに関係なく同じペースで同じ額の資産や銘柄を買い付けていく

例えば「資産の分散」を適用して500万円を投資する場合、国内の投資信託と株式にそれぞれ100万円ずつ、国内債券に200万円、外債に100万円を振り分けるようなやり方です。

・集中投資:ハイリターンを狙いやすい
集中投資は、特定の投資商品や銘柄に絞って運用していく投資方法です。元本を大きく減らす可能性がある一方、ハイリターンを狙うことができます。

集中投資の具体的な例としては、新興企業の株式1銘柄に500万円の全額を投じるようなやり方です。

この場合、株式がテンバガー(10倍以上に成長する銘柄)になれば保有資産が5,000万円以上になります。

しかし株価が10分の1以下に急落すれば保有資産が50万円以下になるハイリスクな点も忘れてはいけません。

3.リスクとリターン

500万円の投資をする前に押さえておきたいポイントの3つ目は、リスクとリターンの関係を正しく認識することです。

なかには、リスクの意味を「危険」や「損をする」と解釈している人もいるかもしれません。しかし投資におけるリスクとは「損失と利益の振れ幅」のことを指します。

例えばリスクが大きいとは、大きな利益が期待できる一方で大きな損失を被る可能性があるということです。

「リスクとリターンは比例関係にある」というのが投資の鉄則です。リスクが大きい場合、期待できるリターンも大きくなります。

逆にリスクが小さい場合、期待できるリターンも少なくなることが一般的です。

元手の500万円をどれくらいのリスクとリターンで運用するのかを決めたあとに具体的な投資方法を選ぶことが重要になります。

500万円の投資に適した12の方法を比較!特徴・メリット・デメリットを解説

ここからは、500万円前後、あるいは500万円以上の投資に適した12の方法を紹介します。「自分に合った投資方法はどれか」という視点を持ちながら読み進めていきましょう。

1.定期預金の特徴とメリット・デメリット

定期預金とは、あらかじめ預入期間が決まっているタイプの預金で、1ヵ月~10年内の期間が一般的です。原則満期日まで引き出すことはできません。

金融機関ごとに固定金利型、変動金利型、単利型、複利型などさまざまな種類を用意しています。一般的に、ネットバンクの金利は実店舗型の銀行よりも高めの傾向です。

定期預金のメリット
・ 普通預金に比べて金利が高め
・ 手数料が必要ない
・ ペイオフ内であれば元本割れリスクがない
※銀行が破たんした場合、元本1,000万円までと破たん日までの利息が保護される
※1,000万円を超える部分は、破たんした金融機関の財産状況に応じて支払われる
定期預金のデメリット
・他の投資方法と比べて利回りが低い
・必要なときに手軽にお金を引き出せない
※定期預金でも満期日前に引き出す(中途解約)ことは可能ですが、その際は金融機関ごとに決められているペナルティーが課せられる

2.外貨預金の特徴とメリット・デメリット

外貨預金とは、日本円を他国の通貨に両替して預金することです。

日本の預金と同様に、あらかじめ預入期間が決まっている定期預金や、いつでも引き出し可能な普通預金などがあります。一般的に外貨預金は、定期預金として利用されることが多い傾向です。

外貨預金のメリット
・ 国内の一般的な預金よりも利息が高いことが多い
・ 預入時よりも円安になれば為替差益が生じる
為替予約を使えば為替変動リスクを回避できる
外貨預金のデメリット
・ 預入時よりも円高になれば為替差損が生じる
・ 円を外貨に変える際に為替手数料がかかることがある
・ 預入時や引出時に手数料がかかることがある
・ 日本の預金と異なり、金融機関が破たんしても元本が保護されない

3.投資信託の特徴とメリット・デメリット

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を投資のプロが運用する商品のことを指します。

投資対象は、株式や債券、不動産などさまざまで、そこから得られる配当収入や値上がり益を投資家に分配する仕組みです。

投資信託のメリット
・ 投資のプロに運用を任せられる
・ 世界中の(または国内の幅広い)資産に手軽に分散投資できる
・ 1口あたり1万円程度~など少額投資ができる
・ 定期的な監査があるため透明性が高い
投資信託のデメリット
・ 選択肢が多く銘柄選びに迷いやすい
・ 購入時、保有時、解約時などに手数料がかかる(ファンドによって異なる)
・ 短期間でハイリターンを狙うのは不向きな商品が多い

4.上場株式の特徴とメリット・デメリット

上場株式とは、企業が資金調達を目的に出資者を募るために発行するものです。株式を購入した人が得られるリターンは3種類あります。

・ 値上がり益:株価が上昇したときに得られる利益
・ 配当金:企業によって収益の一部が年1~2回程度還元される
・ 株主優待:一部の企業では一定株数および一定期間保有する株主に自社製品や優待券などを提供している

※3種類のうち、どのリターンを得られるかは銘柄によって異なります。
上場株式のメリット
・ 株価が高騰すれば、短期間で大きな値上がり益を得られる
・ 長期的に安定して配当金を得られる銘柄もある
・ 株主総会など発行企業の経営に関われる
上場株式のデメリット
・ 不祥事や経営不振などで株価が急落するリスクがある
・ 発行企業が破たんした場合、株式の価値がなくなる可能性がある
・ 流通量が少ない、株価が急落したなどの理由で取引が停止することもある

5.ETF(上場投資信託)の特徴とメリット・デメリット

ETFとは、上場投資信託のことで株式のように証券取引所で取引される投資信託の一種です。

一方、通常の投資信託は証券取引所に上場していません。通常の投資信託とETFには、以下のような違いがあります。

通常の投資信託ETF(上場投資信託)
取引方法証券会社や銀行などを経由して注文商品取引所に注文
基準価額翌営業日に公表されるのが一般的株式市場の営業日はリアルタイムで変動
手数料ETFに比べて高い傾向投資信託に比べて低い傾向
ETFのメリット
・ 株式投資に慣れている人は取引しやすい
・ 株式市場の値動きがリアルタイムで反映されやすい
・ 比較的、低い手数料で運用できる
ETFのデメリット
・ 投資信託に比べて特徴のある銘柄が少ない
・ 分配金の再投資を手動で行う必要がある(投資信託は再投資を自動設定可)
・ 基準価額と市場価格が必ずしも一致しない

6.J-REITの特徴とメリット・デメリット

J-REITとは、多くの投資家から集めた資金を用いて不動産を購入し、そこから得られる家賃収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。

対象となる不動産には、オフィスビルやマンション、商業施設、ホテルなどが含まれます。J-REITは、証券取引所に上場しているため、証券口座経由で売買を行います。

J-REITのメリット
・ 不動産のプロに運用を任せられる
・ 複数の不動産に分散投資ができる
・ 1口あたり10万円程度など少額投資ができる
・ 流動性と利益の分配率が高い
J-REITのデメリット
・ 空室や災害、投資法人破たんなどのリスクがある
・ 株式投資信託などの配当金と異なり、配当控除を受けられない
・ 株式市場の影響を受けやすい

7.未上場株式投資の特徴とメリット・デメリット

末上場株式投資とは、クラウドファンディングのプラットフォームを通じてスタートアップ企業に投資する仕組みです。ベンチャー投資やエンジェル投資とも呼ばれています。

未上場株式投資のメリット
・ 1口あたり10万円程度など少額投資ができる
・ IPO(新規上場)や第三者への売却による利益が期待できる
・ エンジェル税制による節税が期待できる
未上場株式投資のデメリット
・ 投資先企業の破たんリスクがある
・ 事業が頓挫し、企業成長が停滞する可能性がある
・ 上場株式に比べて流動性が低い(ただし一部、二次市場もある)

8.新NISAの特徴とメリット・デメリット

NISAとは、あらかじめ開設した非課税口座で購入した投資信託や株式の分配金(配当金)や値上がり益などに対して税金が課税されない制度です。

2024年1月より新NISAに移行したことで非課税保有期間(運用期間)が無期限となり、非課税枠は1,800万円まで広がりました(うち成長投資枠の限度額は1,200万円)。

新NISAのメリット
・ 運用期間が無期限で非課税枠が大きいため節税効果が高い
・ NISA口座内の投資商品を売却すると、その分の非課税枠が翌年以降に再利用できる
新NISAのデメリット
・ 購入可能な投資商品の選択肢が多く初心者だと悩みやすい
・ 他の資産との損益通算ができない
・ 損失が発生しても繰越控除を受けられない

9.債券の特徴とメリット・デメリット

債券とは、国や自治体、企業などがさまざまな目的で借り入れをする際に発行する証書です。

債券を購入した投資家は、約束された期日に利息を受け取ったり満期日になると元本を受け取ったりすることができます。

※割引債の場合、利息の受け取りはありません。

債券のメリット
・ 定期的に利息を受け取ることができる(利付け債の場合)
・ 日本国債の場合は発行元の破たんリスクが原則ない
・ 原則中途換金が可能(ただし中途換金の可否は銘柄による)
債券のデメリット
・ 発行元の破たんリスクがある
・ 一般的に投資信託や不動産よりも利回りが低い
・ 短期で大きなリターンを狙うことは難しい

10.暗号資産(仮想通貨)の特徴とメリット・デメリット

暗号資産(仮想通貨)とは、インターネットを通じて不特定多数の間で、商品の対価や資産価値のあるものとして流通する資産のことです。

世界中には、数多くの暗号資産の銘柄がありますが、そのなかで代表的なものは「ビットコイン(BTC)」や「イーサリアム(ETH)」などです。

暗号資産のメリット
・ 海外への送金コストが低い
・ 銘柄の選択肢が多い
・ 予算に合わせて少額から投資ができる
暗号資産のデメリット
・ ボラティリティが大きく短期間で大損する可能性がある
・ ハッキングで盗難に遭うリスクがある

11.不動産投資の特徴とメリット・デメリット

不動産投資とは、物件を購入して運用し、家賃収入や売買益などから利益を得る方法です。

他の投資方法と比較すると長期的に安定した利益を得やすいといわれています。

投資対象には、オフィスビルや商業施設、住居系物件などがあり、それぞれに異なる特性があります。

不動産投資のメリット
・ オフィスビルや商業施設は、利回りが高い傾向がある
・ 住居系物件は、稼働率が高い傾向がある
・ ローンを利用することで手元資金にレバレッジをかけられる
・ インフレ局面で物件価格が上昇しやすい
・ 相続税対策の効果が期待できる
不動産投資のデメリット
・ 空室や災害、修繕費などのリスクがある
・ 安定収入がないなどローン審査に通りにくい人は不向き
・ 始める前にある程度、専門知識を学ぶ必要がある

12.不動産小口化商品の特徴とメリット・デメリット

不動産小口化商品とは、複数の投資家で一つの物件を購入し、物件の管理や運用を事業者に委託し、投資家の持ち分に応じて運用益を分配する投資商品です。

通常、一等地に位置するオフィスビルやテナントビル、マンションなどを購入するには多額の資金が必要ですが、小口化することで投資が少額からでも始めやすくなります。

不動産小口化商品のメリット
・ 一等地や好立地など条件の良い物件を運用しやすい
・ 入居者や物件の管理の手間がいらない
・ 不動産税制が適用される(相続税対策の効果が期待できる)
・ 財産分与をしやすい
不動産小口化商品のデメリット
・ 小口化商品単体では再投資ができない
・ 解約できない(または簡単に解約できない)

500万円を投資に回すと将来いくらになる?

投資方法だけでなく、500万円を投資に回すと将来的にどのくらいなるのかについてもイメージしておくとよいでしょう。

1.500万円を投資に回すと10年後いくらになる?

500万円を投資に回すと10年後いくらになるかは、平均利回りによって変わってきます。

平均利回り3%・5%・7%で運用した場合、10年後の「元本+利益の合計額」は以下の通りです。

平均利回り元本+利益の合計額
3%約672万円(うち利益は約172万円)
5%約814万円(うち利益は約314万円)
7%約984万円(うち利益は約484万円)
※1年複利で計算した場合

同じ500万円を投資に回していても利回りによって10年後に得られる利益は大きく変わってきます。例えば利回り3%と7%を比べた場合、利益の差は約312万円です。

2.500万円を投資に回すと20年後いくらになる?

次に500万円を投資に回すと20年後いくらになるかを確認してみましょう。

平均利回りが3%・5%・7%の場合、20年後の「元本+利益の合計額」は以下の通りです。

平均利回り元本+利益の合計額
3%約903万円(うち利益は約403万円)
5%約1,327万円(うち利益は約827万円)
7%約1,935万円(うち利益は約1,435万円)
※1年複利で計算した場合

前述の500万円を10年間投資した場合と比較した場合の利益の差は、3%が約231万円、5%は約513万円、7%は約951万円です。

この計算結果から、資産運用では長期での運用が非常に重要なことが理解できるのではないでしょうか。

500万円を1,000万円にするために投資に要する期間は?

500万円で投資をする場合、あらかじめ目標額を決め、それに達するまでの期間や利回りをもとに投資方法を選ぶこともできます。

例えば目標額を1,000万円(利益と元本の合計額)に設定した場合、利回り3%・5%・7%で運用してこれに達するまでの期間は以下の通りです。

利回り(年平均の利回り)1,000万円に達するまでの期間
3%24年目(約1,016万円)
5%15年目(約1,039万円)
7%11年目(約1,052万円)
※1年複利で計算した場合

このように利回りが高くなるほど目標額に達する期間は短くなりますが、その分リスクも大きくなることには注意しましょう。

まとまった金額を投資する場合は、目標額と期限の明確化が重要

本記事では、500万円の投資に適した12の方法を紹介してきました。分散投資をしたい場合は、いくつかの投資方法を組み合わせるのがおすすめです。

一方、集中投資をしたい場合は、1~2つの投資方法を実行するのがよいでしょう。

加えて500万円前後、あるいは、500万円以上などのまとまった金額を運用する場合は、目標額(例:1,000万円など)と期限(例:20年以内など)を設定したうえで、それを達成しやすい投資方法を選ぶことが重要です。

目標額と期限があいまいな人は、投資方法を選ぶ前段階でまずこの部分を固めるのがよいかもしれません。

本間貴志
本間貴志(著者)
金融・不動産ライター。ビジネス書/実用書制作のプロ集団、アスラン編集スタジオの社員ライターを経て2016年に事務所を設立。これまでに著名人、起業家、エグゼクティブ層など800名以上のインタビュー実績がある。保有資格は、賃貸不動産経営管理士、WEBライティング実務士、SEO検定1級など。