投資信託の運用で知っておきたい利率と利回りの違い|おすすめの金融商品も解説
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投資信託は、少額から手軽に分散投資ができるため、近年ますます人気が高まっている金融商品の一つです。

特に、非課税で投資できるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を通じて投資信託を運用する人が増えています。

これらの制度を活用することで、投資の利益にかかる税金を抑えながら効率的な資産形成を目指すことができます。

しかし、投資信託を運用するうえで、利率と利回りの違いを正しく理解することは非常に重要です。

本記事では、投資信託の運用において重要な「利率」と「利回り」の違いについて、わかりやすく解説していきます。

また、どのような違いがあるのか、シミュレーションを交えて解説します。

この記事でわかること
  • 利率とは元本に対する1年間の利息の割合。
  • 利回りとは投資額に対する実際の収益の割合。
  • 投資信託には、公社債投資信託、インデックス型投資信託、ETF、J-REIT、アクティブ型投資信託、デリバティブ型投資信託などがある。

目次

  1. 知っておきたい利率と利回りの違い
  2. 利率と利回りの計算シミュレーション
  3. 税引き前利回りと税引き後利回りに注意
  4. 利回り以外で投資信託を選ぶポイント
  5. パターン別の投資信託を解説
  6. iDeCo掛金限度額の拡充で投資信託により多く投資できる
  7. NISAで投資信託に投資する方法
  8. まとめ

知っておきたい利率と利回りの違い

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金融商品や不動産の広告を見ると、利率と表示されている場合と利回りと表示されている場合があります。

両者の主な違いを比較表にまとめました。

項目 利率 利回り
定義 元本に対する1年間の利息の割合。 投資額に対する実際の収益の割合。
計算基準 額面金額(元本)を基準として計算される。 実際に支払った金額(購入価格)を基準に計算される。
計算式 利率 = 1年間の利息 ÷ 元本 × 100(%) 利回り = (1年間の利息 + 売却益) ÷ 購入価格 × 100(%)
適用対象 主に定期預金、債券のクーポン利率など。 債券、不動産、株式などの投資全般。
変動要素 一定(契約時に固定されることが多い)。 価格変動や追加収益の影響を受けるため変動する。
債券のクーポン利率が2%の場合、額面100万円に対して年間2万円の利息が支払われる。 債券を95万円で購入し、年間2万円の利息が支払われる場合の利回りは約2.11%。
目的 金融商品の基本的な利息収益の確認。 投資収益性の総合的な評価。

以下でさらに詳しく解説します。

利率とは

利率とは、投資資金(元金)から得られる利息の割合のことをいいます。

100万円を1年間預けて1万円の利息を得た場合は、年利1%となります。

利率には変動利率と固定利率の2種類があります。

項目 変動利率(変動金利) 固定利率(固定金利)
定義 市場金利の変動に応じて利率が一定期間ごとに変わる。 借入期間中または特定の期間中、利率が固定される。
利率の変動 市場金利の動向によって上下する。 契約時に決まった利率が借入期間中は変わらない。
利息の安定性 変動するため、将来の返済額が予測しにくい。 安定しており、返済額が一定で予測が立てやすい。
リスク 金利上昇時には返済額が増えるリスクがある。 金利低下時に固定された高い利率が不利になるリスクがある。
メリット 金利が低下すると返済額が減少する可能性がある。 金利上昇時でも返済額が一定で安心できる。
デメリット 金利上昇時に返済額が増加する可能性がある。 市場金利が下がっても利率は変更されない。
適用期間 通常は半年ごとまたは1年ごとに見直される。 借入期間全体、または特定の期間(5年固定など)適用される。
適用対象の例 住宅ローン、カードローンなど。 住宅ローン、学資ローン、長期債券など。
選択のポイント 短期的な金利動向や柔軟性を重視する場合に向いている。 長期的な返済計画を安定させたい場合に向いている。

・変動利率(変動金利)

変動利率とは、適用利率が定期的に見直される利率のことです。

金利の動向によって受け取る利息が左右されるリスクがありますが、固定利率より高めの利率に設定されるのがメリットです。

・固定利率(固定金利)

固定利率とは、預け入れたときの利率が満期まで変わらない利率のことです。

金利の動向に左右されないので、返済計画を立てやすいというメリットがあります。

半面、変動利率より低めの利率に設定されるのがデメリットです。

利回りとは

利回りとは、投資した金額に対してどれくらいのリターンがあったかを表す指標です。

1年間に換算した利回りを年利回りといいます。

株式や投資信託には満期がないため、表面利回りだけでなく保有した期間でのリターンでも計算する必要があります。

・表面利回り

表面利回りは、投資から得られた収益を単純に投資金額で割った指標です。

【計算例】
買値1株1,000円の株式を1株20円の配当金を得た後で、1,180円で売却した場合。

(1,180円+20円-1,000円)÷1,000円×100=利回り20%となります。

計算例はNISA口座で取引した場合とします(手数料無料、非課税)。

・年利回り

年利回りは、所有していた期間も考慮に入れて計算した指標です。

【計算例】
買値1株1,000円の株式を1株20円の配当金を得たうえで、1,180円で購入して6ヵ月後に売却した場合。

(1,180円+20円-1,000円)÷1,000円×100×(12÷6)=年利回り40%となります。

単純な利回りは20%ですが1年の半分しか所有していなかったので、年利に換算すると40%となります。

逆に2年間所有して売却した結果20%の利回りを得た場合は、年利に換算すると10%となります。

なので、運用利回り100%の投資信託があっても、10年間のリターンであれば年利10%に過ぎないので、驚くほどの高利回りというわけではありません。

固定利率はあるが固定利回りはない

利率と利回りの特徴でわかるように、利率に「固定利率」はありますが、利回りに「固定利回り」はありません。

利率は満期まで保有していれば受け取れる、約束された収益を表します。

固定利率の商品なら金利の動向にも左右されずに、予定している金利収入を確実に得ることができます。

一方の利回りは価格の変動によって変化するので、固定利回りという概念はありません。

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利率と利回りの計算シミュレーション

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利率と利回りは資産運用にどのような影響を与えるのか、具体的な計算方法をシミュレーションしてみましょう。

利率の計算シミュレーション

複利運用による保有期間別の受け取り元本と利息をシミュレーションします。

【設定条件】
元本100万円
5年満期の国債により1年複利で運用
固定年利率1.0%(税引前)

元利合計 利息部分
1年間 1,010,000円 10,000円
2年間 1,020,100円 20,100円
3年間 1,030,301円 30,301円
4年間 1,040,604円 40,604円
5年間 1,051,010円 51,010円

複利運用の結果、5年後に5万1,010円の利息を受け取ることができます。

単利運用の場合より1,010円受け取り利息が多くなります。

利回りの計算シミュレーション

ここでは、1~5%の利回りで運用した場合の元本と受け取り収益をシミュレーションします。

【設定条件】
元本100万円
株式投資信託で複利運用(分配金の再投資)
運用期間5年間
NISA口座で非課税運用した場合

1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0%
1年間 1,010,000円 1,020,000円 1,030,000円 1,040,000円 1,050,000円
2年間 1,020,100円 1,040,400円 1,060,900円 1,081,600円 1,102,500円
3年間 1,030,301円 1,061,208円 1,092,727円 1,124,864円 1,157,625円
4年間 1,040,604円 1,082,432円 1,125,509円 1,169,859円 1,215,506円
5年間 1,051,010円 1,104,081円 1,159,274円 1,216,653円 1,276,282円

利回りは固定ではないので、運用してみないと最終的な収益はわかりません。

5%で運用できれば5年間で27万6,282円の収益を得られる計算になります。

相場の動向によっては目標利回りを上回る場合もあるでしょう。

投資信託で複利運用するには「無分配型」のファンドを選ぶ必要があります。

税引き前利回りと税引き後利回りに注意

利回りの表示方法には、「税引前利回り」と「税引き後利回り」があります。

金融商品の広告や配当利回りランキングなどに表示される利回り(または利率)は、ほとんどが税引前利回り(または税引前利率)です。

税引き前利回りは、受け取る配当金や分配金から譲渡所得税が源泉徴収される前の利回りです。

税引き後利回りは税金が差し引かれた後の手取りを表すので、配当利回りが税引前5%の銘柄も税引き後利回りは4%をやや切る水準まで低下してしまいます。

ただし、NISA口座で取引した場合は非課税なので、税引前利回りで判断しても大丈夫です。

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利回り以外で投資信託を選ぶポイント

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投資信託は利回り以外にも選ぶポイントがいくつかあります。

以下の3つは特に注意すべきポイントなので、目論見書などで確認することが大事です。

1.運用成績

最も重視したいのはやはり運用成績です。

投資信託は基本的に長期投資になるので、そのファンドの運用成績によって、受け取る分配金や1口価額に大きな差が生じます。

運用成績はファンドごとに報告される「月次レポート」で確認できるほか、「投資信託分配金ランキング」でどのファンドの成績が優秀か調べることができます。

2.分配方針

分配金の支払方法には、「分配型」と「無分配型」があります。

分配型は、再投資せずに分配金を支払い日に支給するタイプのファンドです。

定期的に分配金が入る一方で、運用資産が減るため1口価額が下がるというデメリットがあります。

一方の無分配型は、分配金を支払わずにそのお金で再投資して元本に組み入れるタイプのファンドです。

分配金が入らず損する印象がありますが、現金が流出せず運用資産が増えることから1口価額が上がるというメリットがあります。

3.運用コスト

投資信託の運用にはいくつかのコストがかかります。

ファンドによってはかからないコストもありますが、ひととおり把握しておくことが大事です。

一般社団法人投資信託協会によると、投資信託のコストとして以下の5つの費用がかかります。

1.購入時手数料
2.信託報酬
3.監査報酬
4.売買委託手数料
5.信託財産留保額

以下で詳しく解説します。

・1.購入時手数料

投資信託を購入するときに販売会社に支払う費用で、申込価額の数%がかかります。

ファンドによっては手数料が無料になる場合もあり、無料のファンドは「ノーロード」と呼ばれています。

・2.信託報酬

保有している間にかかる報酬で、投資信託の信託財産から間接的に支払われます。

年率でどの程度の費用がかかるかは、ファンドの目論見書などに記載されています。

・3.監査報酬

決算ごとに監査法人などから監査を受けるために保有期間中かかる報酬で、投資信託の信託財産から間接的に支払われます。

・4.売買委託手数料

ファンドが投資する株式などを売買するときにかかる報酬で、投資信託の信託財産から間接的に支払われます。

・5.信託財産留保額

投資信託を購入または解約する際、手数料とは別に直接支払う費用です。

販売会社が受け取るわけではなく、信託財産に留保されます。

パターン別の投資信託を解説

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投資信託には値動きがあるため、個々のファンドによってリスクとリターンが異なります。

基本的には以下の3つのパターンに大別できます。

1.ローリスク・ローリターン型
2.ミドルリスク・ミドルリターン型
3.ハイリスク・ハイリターン型

以下では、それぞれのパターンに合った投資信託を紹介します。

1.ローリスク・ローリターン型

ローリスク・ローリターン型とは、債券を中心にリターンは少ないものの、価格変動が少なく安全性の高い商品で運用する投資信託です。

・公社債投資信託

公社債投資信託とは、国債や社債、地方債などの債権を中心に運用する債券型投資信託です。

株式を組み入れないのが特徴で、金融危機があっても市場の影響を受けにくいというメリットがあります。

公社債投資信託には、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マネジメント・ファンド)、中期国債ファンド、長期公社債投信、短期公社債投信などの商品も含まれます。

元本割れをしたくない人に向いている投資信託といえます。

名称 説明
MRF 短期的な公社債中心に運用。安全性重視で、自動運用される点が特徴。
MMF 海外の短期金融商品中心に運用。MRFよりややリスクを取るが、安全性は高い。
中期国債ファンド 中期の国債を中心に運用。比較的安定した収益を狙う。
長期公社債投信 長期の公社債を中心に運用。中期より高い収益を期待できるが、価格変動も大きい。
短期公社債投信 短期の公社債を中心に運用。安全性重視で、短期的な資金運用に適している。

2.ミドルリスク・ミドルリターン型

株式や不動産などを中心に、多少のリスクはありますが、市場平均に連動した安定運用を目指す投資信託です。

・インデックス型投資信託(株式投資信託)

インデックス型投資信託(株式投資信託)とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500などの主要な株価指数の値動きに連動した運用成績を目指す投資信託です。

株式投資信託で、株価指数に連動するファンドをインデックス型投資信託と呼んでいます。

・ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)は、株式市場に上場している投資信託です。

株のように取引所で売買できるため、リアルタイムに取引できるのが特徴です。

日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動する運用を目指すものが多く、分散投資を手軽に行えます。

また、一般的な投資信託に比べて運用コストが低い傾向があります。

株式、債券、不動産、商品など、さまざまな資産に投資するETFがあり、投資家のニーズに合わせて選択可能です。

・J-REIT(上場不動産投資信託)

J-REIT(上場不動産投資信託)とは、投資家から集めた資金で購入した不動産でポートフォリオを組み、運用した収益を分配する投資信託です。

2024年12月30日現在で無配は1つもなく、上場57銘柄すべてが分配金を配当しています。

株式と同様に値動きがあるため値下がりリスクはありますが、安定運用で平均5.09%の分配金収入を得られるのでキャピタルゲインよりもインカムゲイン※を狙う投資法に向いています。

※キャピタルゲインは、資産を売買することで得られる利益。インカムゲインは、資産を保有していることで継続的に得られる利益。

3.ハイリスク・ハイリターン型

株式や金融派生商品などリスクが高い商品に積極的に投資し、高いリターンを目指す投資信託です。

・アクティブ型投資信託(株式投資信託)

ファンドマネージャーが独自に選んだ株式を組み入れて市場平均よりも高い利回りを目指す投資信託です。

運用会社が優秀な場合、高利回りの運用が期待できますが、リーマンショックやコロナショックなどの経済危機が起こると大きな影響を受けます。

先に紹介したインデックス型投資信託は市場平均に沿った運用結果となりますが、アクティブ型投資信託は市場平均を上回る運用成果を目指すので、個別株の影響を受けやすい分リスクが高くなります。

・デリバティブ型投資信託

金融派生商品を活用して、特定の市場や価格の動きから大きなリターンを狙う投資信託です。

オプション取引や先物取引など、レバレッジをかけることで大きな成果が期待できますが、その分リスクも高くなります。

一般的な投資信託ではないので、初心者は避けたほうが無難です。

以下に、上述した投資信託の違いをまとめました。

名称 説明
公社債投資信託 国債や社債など公社債中心に運用。比較的安定運用を目指す。
インデックス型投資信託 日経平均株価やTOPIX等の指数に連動する運用を目指す。市場平均並みの運用成果を狙う。
ETF(上場投資信託) ETF(上場投資信託)は、株式市場に上場している投資信託で、株のように取引所で売買できるため、リアルタイムに取引できる。
J-REIT(上場不動産投資信託) 投資家から集めた資金で不動産に投資し、賃貸収入や売買益を分配。証券取引所に上場。
アクティブ型投資信託 指数を超える運用成果を目指し、ファンドマネージャーが銘柄選定などをおこなう。
デリバティブ型投資信託 先物取引やオプション取引等のデリバティブを活用し、高収益を狙うが、リスクも高い。

iDeCo掛金限度額の拡充で投資信託により多く投資できる

投資信託で資産運用をおこなう際におすすめの非課税制度にiDeCoがあります。

iDeCoは、2024年12月の制度改正によって、確定給付型の他の制度を併用する場合(公務員を含む)、iDeCoの拠出限度額が引き上げられることになりました。

iDeCoは自分で拠出した掛金を、投資信託等の指定された金融商品で運用する仕組みの個人年金制度です。

運用によって得られる収益は非課税となります。

iDeCo掛金限度額の変更点

今回の改正で、他制度とiDeCoを併用する場合のiDeCoの拠出限度額が1.2万円から2万円に引き上げられます。

公務員を含む国民年金第2号被保険者に関する変更点は下表のとおりです。

国民年金第2号被保険者 2022年10月1日~ 2024年12月1日~
(1)企業型DCのみに加入 月額5.5万-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額2万円を上限) 月額5.5万円-(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)
(ただし、月額2万円を上限)
(2)企業型DCとDB等の他制度に加入 月額2.75万円-各月の企業型DCの事業主掛金額(ただし、月額1.2万円を上限)
(3)DB等の他制度のみに加入(公務員を含む) 月額1.2万円

月の限度額が引き上げられたことにより、積立投資信託の購入金額をさらに増やすことができます。

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NISAで投資信託に投資する方法

iDeCoと並んで資産運用に有利なNISA(少額投資非課税制度)でも投資信託を購入できます。

NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの投資枠が用意されています。

2つの投資枠は併用でき、合わせて年間360万円まで非課税枠を使うことができます。

成長投資枠を使ったスポット購入

成長投資枠は上場株式や投資信託等を購入できます。

自分の好きなタイミングで一括購入する「スポット購入」で投資信託を購入できるので、ボーナス等のまとまったお金が入ったときに向いている投資枠です。

年間投資限度額も240万円と大きいので、個別株と投資信託を組み合わせて投資することも可能です。

つみたて投資枠を使った積立投資

つみたて投資枠は積立商品の購入のみに使える投資枠です。

投資できる商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託で、個別株は購入できません。

年間投資限度額は120万円なので、月10万円以内の積立であれば非課税で運用することができます。

長期でコツコツと資産を増やしたい人に向いています。

iDeCoとNISAは併用できる?

有利な制度のiDeCoとNISAですが、両制度は併用することができます。

iDeCoは老後に受け取る個人年金であるのに対し、NISAは運用の自由度が高いので、資金に余裕があるなら併用して資産運用することが望ましいといえるでしょう。

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まとめ

投資信託の運用で知っておきたい利率と利回りの違い|おすすめの金融商品も解説
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NISAとiDeCoは併用できますが、どちらか1つを選ぶ場合はどちらを選択すればよいのでしょうか。

金融庁が実施した「NISA口座の利用状況調査」(2024年6月末時点)によると、NISA口座は2024年6月末時点で2,425万2,356口座に達し、買付額も10兆1,341億4,752万円と同年3月末時点に比べて64%も増加しています。

NISAが有利な資産運用方法として国民の間に浸透してきた状況です。

NISA口座における買付額のうち、投資信託の買付額は6兆1,285億4,532万円で全体の60.5%を占めています。

上場株式(36.1%)を上回っており、投資信託でプロの運用に任せる人が多いことがわかります。

一方でiDeCoは制度改正で掛金限度額が引き上がった一方、60歳以降に給付を受ける際の制度が改悪されたという事情があります。

「退職所得控除の縮小」や「受け取り時の課税強化」がおこなわれるので、マイナスの影響が出る可能性がある点に注意が必要です。

運用だけを考えればiDeCoもよいですが、受け取り時の改悪を考えると、NISAで運用するほうが有利と考えることができます。

新NISAで年間の投資枠が360万円に拡充された今、投資信託で高利回りの運用を目指すチャンスがやってきたといえそうです。

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丸山優太郎
丸山優太郎(著者)
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。企業系サイトを中心に執筆し、得意執筆領域は金融・経済・不動産。市場分析や経済情勢に合わせたトレンド記事を、毎年約200本執筆している。主な掲載媒体は「YANUSY」「THE Roots」「Dear Reicious Online」「auじぶん銀行お金のコラム集」「ZUUonline」など。