銀行口座に1,000万円あるので資産運用を始めたいけれど、どこにいくら投資すべきかがわからないとお悩みでしょうか。
資産運用とは「お金に働いてもらう」ことですので、超低金利の銀行口座に寝かせておいても年間で1,000円程度しか増えません。
しかし、適切な投資先が選べば今ある資金を将来に向けて大きく増やせる可能性があります。
資産運用にはさまざまな商品がありますが、今回は「資産を保全しながら増やす」をテーマに、投資先を8つにまとめました。
また、資産運用を始める前に気をつけておいたほうがよいことや、知っておいたほうがよいことも紹介します。
1,000万円の資産運用 利率×年数別シミュレーション一覧
資産運用に使える金額が1,000万円前後の方向けに、これから、どのくらいの期間で、どんな商品に投資すれば、どんな結果になるのかをシミュレーションしました。
以下の表とグラフは、1,000万円を投資したときの利率と年数別の運用結果です。
商品の内容はさまざまですが、どの金融商品にも「利率」や「年利」と書かれた数値がありますので、その数値をもとに、預けた年数で資産がどのくらい増えるのかがわかります。
気になる投資先のパンフレット・目論見書などに記載されている想定利率を参考にしながら、商品ごとに資産がどのくらい増えるかを比較するのに役立ちます。
想定利率はあくまで「想定」ですので、実際の運用では期待どおりの結果にはならない可能性があります。
例えば、7%の想定利率で運用する投資先は、表の7%横軸の行にある数字どおりにはならない可能性がありますが、7%以下の運用結果にはなるといえます。また、利率が高いほど投資リスクが高くなるのが一般的です。
1,000万円での資産運用が成功しやすい2つの理由
1,000万円は一般的には大金です。1,000万円の元手で始める資産運用は、10万円や100万円で始めるよりも成功しやすくなります。その理由は、以下の2つです。
1.商品の選択肢が増える
元手が多いということは、それだけ選べる商品の数が増えるということです。
1口100万円の投資先であれば、100万円なら1つの投資先しか購入できませんが、1,000万円あれば10種もの投資先に分散して投資できます。また、不動産のような投資額が大きいものにもチャレンジできます。
2.分散しても金額がまとまっている
資金を分散するのは、リスクの異なる投資先にお金を分けて、不測の事態に備えるためです。
元手が大きければ、いくつもの投資先にお金を分散させても、1つの商品に使える金額が大きいため、運用による成果も出やすくなります。
成功しやすい資産運用の5大基礎
本章では「これから1,000万円を使って資産運用をしよう」とお考えの方向けに、運用で良い結果を出すために、あらかじめ知っておいたほうがよいことを5つ紹介します。
1.目標を設定する
資産運用には、具体的な目標設定が必要です。目標設定とは、ご自分が理想とするライフプラン、ライフスタイルをもとに、いつ・何に・いくらのお金が必要なのかを予測することです。
この金額を目標にし、1,000万円が必要なタイミングで必要な金額になっているように、計画的に資産運用を行います。
例えば、定年まで20年ほどあり、リタイアメント後の人生に3,000万円が必要なのであれば、3,000万円÷20年で、毎年150万円を資産運用で作り出す必要があります。
この金額がわかると、元手の1,000万円をどの商品で運用すればよいのかがわかるため、選ぶべき投資先がハッキリします。
2.長期的視点を持つ
目標を設定するとわかりますが、資産運用は長期で考える必要があります。つまり、成果を出しやすい資産運用方法は「時間を味方につけること」と言い換えられます。
長期運用で資産が増える最大の理由は、ほとんどの長期型商品は複利で運用しているためです。
複利とは、投資元本とそこから生まれた利息を合わせて再投資することです。この計算方法がどのような成果をもたらすのかは、前章の表で確認したとおりです。
例えば、1,000万円を1%で運用すれば、1年目の利息額は10万円です。初年度は1,010万円の資産となり、翌年はそれを元本として再投資します。このように、利息が利息を生むのが複利効果です。
複利効果は、預けている期間が長ければ長いほど成果を生み出しやすくなりますので、長期で運用するほうが資産は拡大しやすくなります。
3.分けて投資する
リスクを分散させるために、お金は分けて投資します。投資に関したネット記事や本を読んでいると「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉を、よく目にすると思います。
これは、すべてのものを1つのカゴに入れておくと、カゴを落としたときにすべて壊れてしまうが、あらかじめ複数のカゴに分散しておけば、カゴを落とした時の被害が小さくて済むという意味です。
分散の方法は自由なのですが、国内株式・国内債券・預貯金・海外株式・海外債券・不動産の5種類に分けるケースが多いです。
資産を分散させるとリスクは小さくなりますが、その分1種類にかける金額は少なくなりますので、リターンも小さくなります。
4.リスクとリターンを理解する
資産運用をする多くの方は、ご自分のお金を増やしたい=リターンを求めます。一般的にリターンが大きいものはリスクも大きいといわれています。
しかし、資産運用におけるリスクとは「危険」という意味ではなく、運用が悪い結果に結びつく可能性の高さのことです。
リスクが高い商品は、その商品自体が危険なのではなく、運用が悪い結果に結びつく可能性が高いので、運用には注意してくださいという意味に過ぎません。
リスクには自分で避けられるものと、避けられないものがあります。このリスクは投資額とは関係なく、資産運用をする方全員に共通したリスクです。
<自分で避けられるリスク>
株価・為替・債券・不動産の取引価格は、価格の変動がリスクにつながります。
これらの商品は、購入前に投資情報・世界情勢・業界情報をしっかりと理解しておき、適切なタイミングで売買すれば、リスクを抑えられます。また、このような変動が少ない投資先を選ぶこともリスク回避につながります。
投資商品はたくさんありますので、調べても内容をよく把握できないものは、どれほど魅力的に思える投資先であっても、購入を見送ることがリスク回避になります。
<自分で避けられないリスク>
通常の価格変動よりも、はるかに変動幅が大きくなる可能性の高い商品は、自分でリスクを回避しにくい傾向があります。仮想通貨のように乱高下が激しく、次の一手が読めないタイプの投資先です。
将来の値動き予想が難しいものは、リスクが高い代わりに大きなリターンを期待できますが、相当の経験がないと失敗に終わる可能性が高いです。
このような商品には、ある程度資産運用に慣れてから参加することが、リスク回避につながります。
2タイプのリスクは、いつかは知識と経験によってカバーできるようになります。資産運用の経験が少ないことは、それ自体がリスクであることを理解しておいてください。
投資経験がどの段階であっても、「知らない」ことはリスクを呼び寄せる原因になります。
そのため、ご自分が関わっている資産運用に関した情報収集や勉強を続けることは、リスク回避の大きな助けになります。
5.自分に合った投資方法を選ぶ
1,000万円という比較的大きな予算があると、商品の選択肢も多くなりますので、さまざまな運用方法にチャレンジしたくなります。しかし、資産運用を成功させるためには、自分に合った投資方法を選ぶようにしてください。
ここでいう「自分に合う」とは、じっくり型・チャレンジ型などの性格的な相性もありますが、それよりも大切なのが、今の生活スタイルでできる投資方法を選ぶことです。
例えば、仕事・家庭生活・お付き合いに忙しい会社員が株式投資による資産運用をしたい場合、今までの生活スケジュールの中に、日々の株価チェック・売買・情報収集などを組み込むことになります。
株価はこちらの都合で上下するわけではありませんので、仕事中でもスマホで株価の動きをチェックし、必要な場合はすぐに売買ができる環境(主にトイレ・人のいない会議室・会社の外など)が必要です。
勉強や情報収集などで、平日の夜と土日の時間を使うことが増えるので、休む間がなくなります。
このようなスタイルの資産運用は、体力的・精神的にも厳しいため長続きしませんし、本業に影響が出るおそれもあります。
また、疲労や焦りによって投資判断ミスをする可能性も高くなるため、投資資金を減らすことにもつながります。
まずは、今の生活スタイルを変えないでもできる資産運用方法を選ぶことが「自分に合った投資方法」のベースであり、その上で自分の性格に合ったリスクの取り方をするようにしてください。
1,000万円円からの資産運用おすすめ8選
資産運用で成功するためには、元手の1,000万円を減らさない投資先選びが重要です。
本章では、1,000万円で資産運用をスタートする時に、優先的に選ぶべき運用先を8つ紹介します。
1.国債|ほぼ元本保証がされておりリスクが低い
資金を調達したい団体が、投資家からお金を借り入れるために発行する証明書を債券といいます。国が発行するのが国債、会社が発行するのが社債です。
国債には、日本国が発行する日本国債以外にも世界各国が発行した外国債があります。
原則として満期日に投資した金額が戻り、利子も受け取れるためほぼ元本保証がされており、リスクが低い運用先といえます。
預貯金よりは利率が高いことが多いため、積極的な資産運用にはまだ不安があり、お金を口座に寝かせているだけであれば、少しでもプラスになる国債を購入したほうがよいといえます。
ただし、リスクがまったくないわけではなく、国が債券の償還ができなくなる「デフォルト」が生じるリスクや、金利変動による価格変動リスクがあります。外国債を購入した場合は、為替変動リスクも加わります。
デフォルトリスクは国の格付けを確認し、安全性の高い発行国のものを選ぶことで回避できます。ただし、安全性の高い国の債券ほど利率は低くなります。
金利変動と為替変動は、満期までの期間が長くなるほど影響を受けやすくなりますので、選択できる商品の中で短~中期のものを選択するか、短期・中期・長期のそれぞれを購入して、総合的にリスクを減らします。
国債は販売期間・発行部数が決まっており、人気商品であるため発売と同時に完売することもあります。
国債による資産運用を検討する場合は、先に発行予定日と償還日などを確認し、希望する金融機関の口座開設や申し込み要綱の確認が必要です。
2.外貨|内入れした金額の25倍までの取引が可能
同じ預金でも、日本円ではなく外国通貨で預金をすることです。預ける通貨が違うだけで、基本的な仕組みは円預金とほぼ同じです。
一般的に、外国通貨のほうが円預金よりも金利が高い傾向がありますので、口座に寝かせておくならば、外貨のほうが利益を得やすいといえます。
ただし、円に換える時に手数料が発生しますので、当面は外貨で持っていられる資金で運用する必要があります。
外貨を扱う投資方法には、FXも含まれます。FXは、簡単に言えば両替による利益を狙う運用方法です。
通貨の交換比率は毎日変化しますので、自分が保有する通貨にとってプラスになるタイミングを狙えば、利益が出ます。
取引できる通貨がたくさんあり、手数料も安く、内入れした証拠金の25倍までの取引が可能なので、短期間で大きな運用成果も期待できます。
ただし、為替変動による差益損失も生じやすいため、安全性の高い通貨を選ぶことが大切です。
3.NISA・iDeCo|資産が増えても税金がかからない
NISA(少額投資非課税制度)は、証券会社や銀行でNISA口座を開設し、その口座で購入した株式や投資信託からの運用利益が非課税になる制度です。
通常、運用で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座での運用益は非課税であるため、資産が増えても税金の心配をせずに資産運用ができます。長期的な資産運用に向きますが、普通の投資と同じように途中で引き出すこともできます。
似たような国の優遇制度に、iDeCo(確定拠出金)という私的年金制度があります。
iDeCo口座を開設して、そこで株式や投資信託を購入しますが、運用先を自分で自由に選べますので、実質的には普通の資産運用と同じです。ただし、年金準備のための制度なので60歳まで資金を引き出せません。
国が作った私的年金制度なので、国民年金や企業年金と同じように掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税を抑えられます。
加入方法には制限があり、勤め先が企業型のiDeCoを採用している場合は企業型iDeCoにしか加入できません。自営業者と、勤め先が企業型iDeCoを採用していない場合は、個人型に加入できます。
NISAとiDeCoのどちらも、通常の投資商品よりも手数料や信託報酬が低めになっていることが多いため、コストを抑えた資産運用ができます。他の投資方法と併せて使うことで、節税をしながら資産を増やせます。
4.投資信託|投資家に代わって投資のプロが資産運用
複数の投資先に投資する金融商品です。投資信託の購入者から集めたお金を使って、投資のプロであるファンドマネージャーが投資先を選択して運用し、成果を分配します。
投資信託を購入した後は基本的に何もすることがないので、「ほったらかし投資」とも呼ばれています。投資信託の中身の金融商品が上がれば、投資信託も値上がりします。
個別では購入できないような数の金融商品へ投資できる上に、プロが代理で運用してくれるため、投資信託そのものが高度なリスク分散がなされている投資法といえます。
1,000万円は少額ではありませんが、限られた資金を効率良く配分するのに適した運用方法です。
投資信託には金融機関に支払う手数料の他に、毎年の運用手数料と解約時の手数料が発生します。
投資信託の商品数は非常に多く、金融機関によって取扱商品も違うため、投資信託を先に探し、その取扱いがある金融機関に口座を開設する必要があります。
投資信託の中には100~1,000円という少額でスタートできるものもあるため、資産運用が始めての方でも、安心してお試し運用ができます。
5.株式投資|企業の権利所有者として利益やサービスが受けられる
証券会社などを通じて上場会社が発行した株式を購入し、株価が上がったら売却すると差額が利益になります。ただし、買った金額より株価が安くなると損失が出ます。
株式を購入した方はその企業の株主になるので、配当金・株主優待・株主総会での議決権など、その企業の権利所有者の一人として利益やサービスを受けられ、企業の経営に対して意見を出すこともできます。
株式投資で成果を出すためには、業績が良く割安な株を値上がりする前に購入しておく必要があります。つまり「安く買って高く売る」だけです。
売買のたびに証券会社に手数料を支払いますので、手数料の低いネット口座のほうが運用コストを抑えられます。
売買益にも配当益にも約20%の税金がかかりますので、前項でお伝えしたNISA口座などを上手く活用してください。
株式投資のリスクは株価が下がることですので、普段から購入した銘柄の情報や経済情報をチェックし、適切なタイミングで売買する必要があります。
株式投資の最大のリスクは、企業が倒産することにより投資額の全額を失うことです。購入前には企業の信用度なども含めて、複数の銘柄を比較検討する必要があります。
6.不動産小口化投資|複数の投資家が共同で不動産を所有する
不動産小口投資は、複数の投資家が一口いくらという形で資金を出し合い、出資者が共同で不動産を所有する不動産投資です。
不動産の管理は専門会社に委託し、出資者は持ち分に応じて分配金を受け取りますので、「小口版・不動産ほったらかし経営」といえます。
個人では投資が難しい都心部にある好立地・好条件の大型オフィスビルなどに、小口(1口100万円~)で投資できるため、スタイルとしては金融商品に近いのですが、不動産の所有権が発生しますので実物資産での資産運用になります。
実物資産ですので、相続の際には現金よりも相続税評価額が2~3割程度下がるため、相続税対策としても注目されています。複数の口数(家族分)を所有しておけば、遺産分割の際にもトラブルを回避しやすくなります。
不動産投資・不動産経営ですので日々の価格変動はなく、市場経済の動向にも影響されにくいという特徴があります。そのためリスクを避け、資産を長期で保全するための運用先として適しています。
7.REIT|専門会社が投資家から集めた資金で複数の不動産を取得して運用
REITの専門会社が投資家から集めた資金で複数の不動産を取得して運用し、投資家は賃料収入や売却益を原資とする分配金を受け取ります。
不動産を実体で購入するのではなく、証券化された不動産を金融商品として購入します。日本ではJ-REITと呼ばれ、東京証券取引所に上場しています。
対象となる不動産にはオフィス・ホテル・倉庫・介護施設などがあり、投資先はバラエティに富んでいます。運営条件もそれぞれ違うため、商品の選択には慎重さが必要です。
現物の不動産に比べれば購入しやすく、さらにREITファンドであれば1万円程度から参加できます。REITには海外不動産もありますので、REITでの分散投資もできます。
証券化した不動産を購入するので物件の所有権はありませんが、株式と同様に現金化しやすいという特徴があります。
8.不動産投資|人に貸す目的で不動産を購入し入居者からの家賃を収益
人に貸す目的で不動産を購入し、入居者からの家賃を収益とする資産運用方法です。
購入する不動産は、マンションの一室からアパート・マンション一棟まであります。戸建・店舗・オフィスビル・駐車場経営なども、不動産投資の一種です。
物件を保有する必要があるため初期投資が必要ですが、銀行から融資を受けられます。返済原資は入居者の家賃ですので、適切な物件を選べば長期の安定収入が期待できます。
入居者対応や建物の管理は不動産管理会社に一任するため、オーナーは基本的に何もすることがありません。また、不動産価格が上昇しているタイミングであれば、物件を売却して差益を得られることもあります。
まとめ
1,000万円で資産運用をする方に向けて、さまざまな情報を紹介しました。
一般的に1,000万円は大金ですので運用には慎重さが求められますが、分散投資をしても1つの投資先への投資額がまとまった金額になるため、成果を得やすいといえます。
投資先はさまざまですが、今回は1,000万円を減らさないという前提で、8つの投資先を提案しました。
投資先を決める際には複数の商品を比較し、利率や手数料などをよく調べてから申し込んでください。