「資産運用を始めたい」と考えている人にとって、大きな関心事を挙げてみました。これらに当てはまる人は多いのではないでしょうか。
「資産運用といっても何に投資すればいいのかわからない」
「お金を増やしたいがリスクは怖い」
「自分にもできるか不安」
「自分にも始められる運用法を知りたい」
「詳しい人からおすすめの運用法を教えてほしい」
いかがでしょうか。当てはまるものが多いほど、資産運用への関心が高いといえるでしょう。
当記事ではこれらの疑問や不安、要望にお答えします。今すぐ始められるおすすめの資産運用法も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
初心者におすすめの資産運用6選
最初に、初心者におすすめの資産運用法を6つ紹介します。具体的な運用法は後述しますので、まずは「こんなものがあるのか」という感覚でイメージを掴んでください。
1.個人向け国債
最初に紹介するのは、個人向け国債です。日本政府が発行している債券で、個人向けに販売されているものです。
最大の特徴は元本保証であることで、ここで紹介している資産運用法の中では最も低リスクです。
しかしながら、リスクとリターンは比例関係にあるので、最も低リスクであるのと同時に利回りも低めです。
とはいえ、第167回の「変動10」の金利は0.49%なので、大手メガバンクであれば0.002%という定期預金金利と比べると、高利回りです。
リスクにさらしたくない資金を安全に運用するのであれば、個人向け国債が有力な選択肢となるでしょう。
2.投資信託・ETF
運用をプロに任せることができる投資信託は初心者が始めやすいだけでなく、複数の商品を組み合わせて運用していることからリスクの分散性に優れており、長期目線での資産運用にも適しています。
インデックス型といって株価指数などと連動するタイプは運用コストが安いですし、株式市場全体の成長をそのまま資産形成につなげられるのでおすすめです。
日本の日経平均株価と連動するものや、米国のS&P500、全世界の株価指数を組み込んだオールカントリー(オルカン)などが人気です。
証券取引所に上場している投資信託をETFといいます。厳しい上場基準を満たしていることもあって運用の透明性が高く、信託報酬が低めなので低コストであるといったメリットがあります。
3.J-REIT
REITは不動産投資信託のことで、J-REITは東京証券取引所に上場しているREITです。
J-REITは投資法人という運営母体が投資家から集めた資金で優良不動産を厳選し、運用しています。そこで得られた利益を投資家に分配する仕組みです。
個人投資家が自力で買える不動産となると限られますが、J-REITであれば買いやすく、多くの投資家から人気を集めています。
2024年1月時点で、東京証券取引所には58銘柄のJ-REITが上場しています。住居物件やオフィス物件、物流施設物件など、銘柄によって運用している不動産の種類はさまざまです。
特定の銘柄への投資となると、不動産市場の動向をチェックして知識を得る必要がありますが、J-REIT市場全体への投資も可能です。
東証REIT指数といって、J-REIT全体の値動きを示す指数があります。
この指数と連動する投資信託やETFを保有することで、J-REIT全体への投資効果を得られます。前項でインデックス投資を紹介しましたが、これも不動産市場に対するインデックス投資の一種です。
4.高配当株・高配当ETF
資産運用で得られる利益は、2種類あります。1つは株価上昇などの値上がり益であるキャピタルゲイン、もう1つは配当金や分配金、利息などのインカムゲインです。
ここで紹介する高配当株や高配当ETFは、インカムゲイン狙いの資産運用です。高配当株は配当金利回りの高い個別銘柄のことで、高配当ETFは「高配当株の詰め合わせパック」です。
ETFは複数の高配当株で運用しているためリスク分散効果があり、こちらも初心者にもおすすめです。
5.外貨預金
日本は長らく超低金利ですが、世界に目を向けると日本よりはるかに金利が高い国があります。米国やニュージーランドの政策金利は5.5%、メキシコは11.25%です。こうした金利の高い国で運用できるのが、外貨預金です。
外貨預金は銀行の商品ですが、これ以外にFXの仕組みを利用して外貨預金と同様の運用ができる方法があります。外貨預金よりも低コストで投資の柔軟性が高いので、これについては後述します。
6.不動産投資
アパートやマンションなどの収益物件を所有して、家賃収入を狙うビジネスモデルです。
小口化されていないので初期投資額が大きくなりますが、現物の不動産という裏付けがあることから比較的低リスクで、節税や相続対策にも活用できるというメリットもあります。
アパートやマンションだけでなく、オフィス物件にも投資できます。
オフィスは都心の物件が中心なのでさらに高額で、個人投資家が購入するにはハードルが高いのですが、それを解決できる小口化商品があります。これについては、おすすめの資産運用法のところで解説します。
年代別おすすめの資産運用
資産運用にはリスクが付き物です。リスクといかにうまく付き合っていくかが成否を分けると言っても過言ではありません。リスクとの付き合い方は、年代によって異なります。
ここでは、年代別のおすすめの資産運用を解説します。
20代は積極的にリスクを取ってハイリターンを狙える
20代は現役世代でいられる期間が長く、資産運用では積極的にリスクを取れる世代です。
一時的なドローダウン(含み損)が発生しても本業の収入があるので影響は軽微ですし、むしろそれをチャンスととらえて追加投資も検討できると思います。
今後の成長を期待した、インデックス型投信信託や有望な個別株への投資も有効です。
ただし、リスクの高い運用は一時的なドローダウンで狼狽してしまい、最も損失が大きいタイミングでやめてしまうこともあるでしょう。
目先の値動きで一喜一憂せず、長期で取り組む姿勢を持つことが大切です。
30~40代は効率重視で資産形成を
30~40代は、資産運用の「黄金期」と呼べる年代です。投資に回せる資金を確保しやすいでしょうし、「そろそろ何か始めないと」と考える人が増える年代でもあります。
この時期から始めても資産形成効果を実感できるので、ポートフォリオ(複数の資産運用を組み合わせた時の内訳)をしっかりと組んで臨みたいところです。
投資信託やETFでインデックス投資をして長期的なリターンを狙いつつ、勤続年数が長い人はそれを活かして融資を利用し、不動産投資に進出するのも面白いと思います。
「融資の審査に不安がある」「あまり大きな金額を投じたくない」という人は、不動産小口化商品も検討するとよいでしょう。
50代は老後資金作りの総仕上げ
50代は「老後」を強く意識する年代です。
資産運用を続けてきた人にとっては総仕上げの時期であり、これから始める人にとっては少しでも長い期間を設けて、複利効果を味方につけたいところです。
複利効果とは、運用益を再投資することで加速度的に資産が増えていく効果のことです。
複利効果は運用期間が長くなるほど大きくなるため、50代から始める場合でも、できるだけ長い運用期間を確保するとよいでしょう。
運用方法は投資信託やETFが軸になると思いますが、相続対策を意識するのであれば不動産投資(小口化商品も含む)も有効な選択肢となります。
60代以上は守りに徹する
60代を超えると、そこから先は「守り」に徹するべきです。すでに「老後」が始まりつつあるため、公的年金に少しでも上乗せできる運用方法を選ぶとよいでしょう。
個人向け国債などの債券投資で「守り」を固めつつ、資産の一部を高配当ETFなどインカムゲイン重視で運用することで、老後資金への上乗せを狙いたいところです。
資産運用をするなら知っておきたい優遇制度
資産運用と税金は切っても切れない関係にありますが、税の仕組みや優遇制度を理解し、うまく活用することで資産形成の効果を高めることができます。
ここでは、知っておきたい2つの制度と不動産投資の節税効果について解説します。
1. NISA
2024年1月に従来のNISA(ニーサ)が大幅に拡充され、「新NISA」としてスタートしました。それまで時限的な制度だったものが恒久化され、非課税期間も無期限になりました。
最大600万円もしくは800万円だった非課税枠の上限も1,800万円まで拡大したため、本格的な資産運用に使える制度として始める人が急増しました。
NISAの非課税枠で運用した場合、本来であれば課税される20.315%分が無税になるため、実質的に運用益が約2割増えます。
当記事で紹介しているおすすめの資産運用法のうち、投資信託やETF、株式はNISAの対象商品になっているため、これらに投資する際には積極的に活用したいところです。
2. iDeCo
iDeCo(イデコ)は、老後資金作りに特化した税の優遇制度です。自分で選んだ投資商品に積立投資をして、老後を迎えたら公的年金に自分で積み立てた分を上乗せして受け取る仕組みになっています。
積立金は掛金と呼ばれ、全額が所得税の控除対象です。また、運用益も非課税です。
自営業者やフリーランスの人はiDeCoの掛金上限が高く設定されているので(月額6万8,000円)、公的年金の2階部分がなく、老後の受給額が少ないことに懸念がある人は特に活用したい制度です。
3.不動産投資の節税効果について
不動産投資には、一定の節税効果があります。収益物件を所有すると減価償却費を毎年経費として計上できますし、賃貸経営が赤字の場合は他の所得と損益通算をすることで所得額を圧縮できます。
さらに、相続時には不動産のほうが現金よりも評価額が小さくなるため、相続税の節税にも役立ちます。
将来相続税が発生する可能性がある人は、節税も視野に入れて不動産投資に取り組むとよいでしょう。
今すぐ始められるおすすめの資産運用法
「今すぐ何か始めたい」という人に向けて、おすすめの資産運用法を紹介します。いずれも資金があれば今すぐ始められ、長期的な資産形成効果を期待できます。
1.NSIAを活かしたインデックス積立投資
インデックス型投資信託を購入するなら、NISAをしっかり活用したいところです。
証券会社にNISA口座を開設し、インデックス型投資信託で積立投資をします。自動的に積立投資をするのであれば「つみたて投資枠」、手動で購入する場合は「成長投資枠」で行いましょう。
対象となるインデックス(指数)には、日経平均株価やTOPIX、米国のS&P500、ナスダック100指数、世界の主要株価指数を組み込んだオールカントリー型(オルカン)などがあります。
これらの指数と連動する投資信託やETFを購入した場合、1,800万円分までは運用益に税金がかかりません。
配当金が出ず自動的に再投資される商品を購入すると、その商品が値上がりしたとしても購入時の簿価で投資枠が計算されるため、限られた投資枠を有効活用できます。
分配金が出る商品の場合、それを自分で再投資すると新たにNISAの投資枠を使ってしまうため、長期的な積立投資で資産形成をするのであれば、分配金が出ず再投資される商品がおすすめです。
2.高配当ETF、J-REITによる自分年金作り
高配当ETFや東証REIT指数連動ETFなどを長期保有することで不労収入を増やすと、老後に向けて安定的な収入源を確保できます。
どちらも3~5%程度の利回りを期待できるので、この水準が続くのであれば、積立投資を続けて元本を大きくしていくと自分年金の金額も増えていきます。
例えば、東証REIT指数連動型のETFである「iシェアーズ・コア Jリート ETF」の分配金利回りは4.28%(2024年3月1日時点)なので、リスクを分散しながら安定的に運用できます。
高配当ETFと東証REIT指数連動ETFは、どちらもNISAの成長投資枠で購入できます。非課税メリットを活かしつつ、自分年金作りに役立てましょう。
3.不動産小口化商品
不動産は高額なので、「投資したい」と思っても簡単に資金を用意できるわけではありません。都心のオフィスビルはさらに高額ですし、優良物件であればなおさらでしょう。
そこでおすすめしたいのが、不動産小口化商品です。例えば、ACN不動産の「Aシェア」は東京都心の優良オフィスビル物件を小口化し、1口100万円で5口から投資できるようにした商品です(最小投資口数は5口)。
こちらは、「Aシェア」の小口化イメージです。
この図では50億円のオフィスビルを1フロア単位に小口化して、さらにその1フロアを複数の投資家でシェアすることで、「東京都心の優良オフィスビルへの投資」を実現しています。
個人で50億円を用意できる人はごくわずかだと思いますが、「Aシェア」の500万円であれば一気に現実味が増すでしょう。
少額から優良物件に投資できることが最大のメリットなので、「長期目線で賃料収入を確保したい」という人におすすめです。
4.不動産投資
相続対策に重点を置くのであれば、現物の不動産投資もおすすめです。
相続時には不動産のほうが現金よりも評価額が低くなるため節税になりますし、「小規模宅地等の特例」などの特例や優遇制度に該当すれば、さらに高い節税効果を期待できます。
特に「小規模宅地等の特例」は土地の評価額が最大で80%も低くなるため、相続対策として広く利用されています。
5.FXを活用した高金利通貨積立
これは番外編の資産運用法ですが、FXの仕組みを利用すれば外貨預金と同様の運用が可能です。
FXでは通貨ペアを保有することを「ポジションを建てる」といいます。高金利通貨を買って日本円を売るポジションを建てると、毎日スワップポイントが付与されます。
FXでは最大25倍までレバレッジをかけることができますが、レバレッジが高くなるとロスカットのリスクも高くなるため、レバレッジは高くても3倍程度になるように資金に余裕を持たせ、高金利通貨のポジションを保有します。
毎日付与されるスワップポイントを貯めていくと、年利数十%の運用も可能です。ただし、利回りが高いからといって、資金の大半を投じるのはおすすめしません。
やはりFXはリスクが高いので、あくまでも資金の一部を使ってハイリスク投資を楽しむ感覚で臨むのがおすすめです。
まとめ
初心者におすすめの資産運用法や、年代別のおすすめ運用法を紹介しました。
年齢が高くなるほど積極的にリスクを取れなくなるため、資産運用はできるだけ若いうちに始めることをおすすめします。運用期間が長くなり、複利効果も大きくなるからです。
当記事ではおすすめの運用方法についても解説しましたので、その中で「面白そう」と感じたものがあれば、まずは少額から始めてみてはいかがでしょうか。
投資信託やETF、株式などを運用するのであれば、NISA口座が必須です。まずはNISA口座の開設から始めましょう。