生前贈与のやり方・流れをわかりやすくゼロから解説!
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【損をしないための贈与税ガイドブック】

生前贈与は、相続税の節税対策や、早めの資産承継として有効です。

そのためには、贈与税や手続きのルールを理解しておくことが重要です。

本記事では、生前贈与の基本的な仕組みや、暦年課税・相続時精算課税の違い、生前贈与のやり方の流れを詳しく解説します。

適切な方法で贈与をおこなうことで、将来的な税負担を抑えつつ、円滑な資産移転を実現しましょう。

この記事でわかること
  • 生前贈与は存命中に財産を他者に無償で贈与すること
  • 贈与税には暦年課税と相続時精算課税があり、暦年課税は年間110万円まで非課税、相続時精算課税は2500万円まで非課税
  • 生前贈与は贈与する相手・資産・目的を決めることから始める

目次

  1. 生前贈与とは
  2. 贈与税の課税方法|暦年課税と相続時精算課税制度
  3. 生前贈与のやり方の流れ
  4. 生前贈与をおこなう際の注意点
  5. 生前贈与のメリット
  6. 生前贈与をおこなう際に可能な節税方法
  7. まとめ

生前贈与とは

生前贈与とは?やり方の流れや節税方法をわかりやすく解説
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まず、生前贈与の基礎知識を解説します。

「生前贈与」とは、生きている間に財産を贈与することです。

一方、亡くなったタイミングで財産が引き継がれることを「相続」と呼びます。

贈与と相続は似て非なるものです。

生前贈与をおこなう場合は「贈与税」の対象となりますが、基礎控除や非課税措置の特例などを活用すると贈与税がかからないこともあります。

一方、相続の場合は「相続税」の対象となります。

相続税でも基礎控除などが用意されており、非課税となることがあります。

詳しくは後述しますが、贈与税には2つの課税方法があります。

「暦年課税」と「相続時精算課税」です。

どちらを使うか自分で選べますが、それぞれのメリット・デメリットを知った上で選択することが大切です。

ちなみに相続時精算課税を一度選択すると、暦年課税に戻すことはできません。

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贈与税の課税方法|暦年課税と相続時精算課税制度

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ここでは贈与税の課税方法である暦年課税と相続時精算課税制度について解説します。

暦年課税

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった贈与額の合計額から、基礎控除額である110万円を差し引いた金額に対して贈与税が課税される制度です。

毎年110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。

この制度のメリットは、毎年少額ずつ贈与することで、贈与税を抑えながら長期的に財産を移転できる点です。

しかし、毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、税務署から「定期贈与」とみなされる可能性があるため注意が必要です。

定期贈与と判断された場合、贈与税が課税されることがあります。

暦年課税は、相続税対策として有効な手段の一つですが、贈与の時期や金額を工夫するなど、税務上の注意点を理解したうえで利用することが大切です。

・暦年課税のメリット・デメリット

暦年課税のメリット・デメリットは以下のとおりです。

【暦年課税のメリット】
1.毎年110万円までの贈与は非課税
基礎控除額内の贈与であれば、贈与税がかからないため、長期的に少しずつ財産を移転できる。

2.贈与税の負担を軽減できる
計画的に贈与をおこなうことで、相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できる。

3.贈与の相手や回数に制限がない
特に制限はなく、複数人への贈与も可能。

4.柔軟な財産移転が可能
贈与の時期や金額を調整することで、柔軟な財産移転ができる

【暦年課税のデメリット】
1.贈与額が110万円を超えると贈与税がかかる
贈与額に応じて贈与税率が上がるため、高額な贈与には注意が必要。

2.定期贈与とみなされる可能性がある
毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、定期贈与と判断され、贈与税が課税されることがある。

3.相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算される
相続開始前7年以内の贈与は、相続財産に加算されるため、相続税対策としての効果が薄れる場合がある。

4.贈与契約書の作成など、手続きが必要
贈与の事実を明確にするために、贈与契約書を作成するなど、一定の手続きが必要になる。

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相続時精算課税制度

相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫への贈与について選択できる制度です。

この制度を選択した場合、贈与額の累計が2,500万円に達するまでは贈与税は課税されません。

ただし、2,500万円を超える部分については、一律20%の贈与税が課税されます。

この制度の大きな特徴は、贈与者が亡くなった際に、相続財産に贈与時の価額で加算して相続税を計算する点です。

つまり、贈与時には贈与税がかからない、または軽減されるものの、最終的には相続税で清算されることになります。

相続時精算課税を選択すると、暦年課税は選択できなくなるため、将来の相続計画を考慮して慎重に検討する必要があります。

・相続時精算課税制度のメリット・デメリット

相続時精算課税制度のメリット・デメリットは以下のとおりです。

【相続時精算課税制度のメリット】
1.2,500万円までの贈与は非課税
特別控除額の範囲内であれば、贈与時に贈与税がかからない。

2.高額な財産を生前贈与しやすい
暦年課税に比べて、一度に多額の財産を贈与しやすい。

3.将来値上がりが見込まれる財産の贈与に有利
値上がり前に贈与することで、将来の相続財産を抑えることができる。

4.贈与者の意思を反映しやすい
生前に財産を移転することで、相続争いを防ぎ、贈与者の意思を反映した財産承継ができる。

【相続時精算課税のデメリット】
1.暦年課税との選択制
相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者からの贈与について、暦年課税は選択できなくなる。

2.2,500万円を超える部分には贈与税がかかる
特別控除額を超えた部分には、一律20%の贈与税が課税される。

3.相続時に贈与財産が相続財産に加算される
贈与者の相続時に、贈与時の価額で贈与財産が相続財産に加算され、相続税が計算される。

4.小規模宅地等の特例が適用されない場合がある
相続時精算課税で贈与された宅地は、相続税の計算において小規模宅地等の特例が適用されない場合がある。

5.贈与税の申告が必要
相続時精算課税を選択した場合、贈与税の申告が必要になる

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生前贈与のやり方の流れ

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自分で生前贈与をおこなう際の具体的なやり方の流れや注意点を説明します。

1.贈与する相手・資産・目的を決める

まず明確にしなければならないのは、「贈与する相手」「贈与する資産」「贈与する目的」です。

贈与する相手が決まると、どの税率が適用されるかが決まります。

贈与税の適用税率には、「一般税率」と「特例税率」があります。

一般税率が適用されるのは、以下のようなケースです。

【一般税率が適用されるケース】
・兄弟間の贈与
・夫婦間の贈与
・親から未成年者の子への贈与

特例税率が適用されるのは、以下のようなケースです。

【特例税率が適用されるケース】
・祖父から孫への贈与
・親から未成年ではない子への贈与

税率は、一般税率よりも特例税率のほうが低く設定されています。

たとえば、基礎控除後の課税価格が1,000万円の場合、一般税率が適用される場合の贈与税額は275万円ですが、特例税率が適用される場合は210万円で済みます。

贈与する資産によって、資産の評価額の計算方法が変わります。

現金1,000万円の場合はそのまま1,000万円と評価されますが、土地や家屋などの不動産の場合は路線価や固定資産評価額をもとに計算されます。

贈与の目的が住宅の新築・購入や結婚、子育て・教育であれば、非課税措置の特例を使えます。

2.贈与税の課税方法を決める

続いて、適用させる課税方式を決めます。

前述のとおり、課税方式には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。

暦年課税では、毎年110万円の基礎控除があります。

つまり毎年110万円以内であれば、非課税で贈与を受けることができます。

相続時精算課税には、評価額が大きい資産を一度に贈与する場合に暦年課税よりも課税額を抑えられる、税金を支払うタイミングを相続時に先送りできる、といったメリットがあります。

3.贈与契約書を作成する

贈与する相手・資産・目的と課税方式を決めたら、贈与契約書を作成します。

贈与契約書を作成せずに贈与をおこなうと、将来生前贈与の証拠を用意できずに税務署との間でトラブルになることがあるため、必ず作成しましょう。

贈与契約書に記載しなければならない事項は、以下のとおりです。

・贈与をおこなう日付(年月日 ※西暦もしくは和暦)
・贈与者(贈与をする人)と受贈者(贈与を受ける人)の氏名・住所・生年月日
・贈与の対象財産
・署名・捺印(印鑑は認印でもよいが実印がベター)

贈与の対象財産が土地の場合は以下を記載します。

・所在
・地番
・地目
・地積
・建物の場合は所在、家屋番号、種類、構造、床面積

法務局で「全部事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、これらを記載しましょう。

贈与の対象財産が株式の場合は以下を明記します。

・会社名
・本店所在地
・株数
・株券番号

贈与契約書は2枚作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ保管します。

それぞれが保管すれば、贈与契約書の紛失や内容の改ざんといったトラブルを防ぐことができます。

贈与契約書は、贈与のたびに作成します。

贈与契約書はパソコンで作成しても、手書きで作成しても構いません。

ただし、日付や署名の箇所は手書きで記載することが推奨されます。

4.贈与財産を受贈者に移す

贈与契約書を適切に作成し、双方が署名・捺印を終えたら、贈与財産を受贈者に移します。

現金を渡す場合は手渡しではなく、銀行振込を利用しましょう。

なぜかというと、後で生前贈与の証拠として確認しやすいからです。

ただし、銀行振込おこなう際には振込先が「名義口座」と判断されないよう注意が必要です。

名義口座への振込と判断されると、生前贈与が認められなくなる場合があり、節税効果がなくなるからです。

名義口座とは、口座の名義人とその口座に入っている預金の所有者・管理者が異なる預金口座のことです。

たとえば、子ども名義の口座に現金を振り込んだとしても、その口座の管理者があなたであることがわかると名義口座と判断されます。

贈与者と受贈者の口座で同じ銀行印が使われていた場合や、受贈者の通帳を贈与者が保管・管理していた場合は名義口座と判断されやすくなるので注意してください。

5.不動産贈与に際して不動産取得税などの納付を完了させる

不動産を贈与する際には登録免許税と不動産取得税が課税され、それぞれ納付が必要です。

不動産を贈与しない場合は、このステップは飛ばしてください。

登録免許税は、贈与登記の際に納付します。

税率は固定資産税評価額の2%です。

登録免許税は贈与税が課税されない場合でもかかります。

不動産所得税も、贈与税が課税されない場合でもかかります。

税率は、土地や住宅用家屋の場合は3%、非住宅用の家屋の場合は4%です。

所管の税事務所に申告した後、都道府県から届く納税通知書を使って税事務所や金融機関、郵便局、コンビニなどで納付します。

ちなみに申告から納税通知書が届くまで、半年から1年程度かかります。

参考:東京都主税局 不動産取得税

6.贈与税の申告・納付を完了させる

最後に、贈与税の申告・納付を完了させます。

課税方式が暦年課税であり、年間に贈与を受けた資産の合計評価額が基礎控除の110万円以内であれば、申告は不要です。

一方、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除がありますが、評価額の合計が110万円以内であっても、相続時精算課税の方式で贈与を受けた場合は申告が必要です。

贈与税の申告書の受付期間は毎年2月1日から3月15日までで、贈与税の納付期限は3月15日です。

贈与税の申告書は税務署の窓口や郵送でも提出できますが、e-Taxを使う方法が便利です。

申告書には必要書類を添付する必要があります。

スマートフォンのカメラやスキャナを使ってデータ化できれば、e-Taxでそのデータを送信できます。e-Taxは、期間中は24時間利用できます。

贈与税の納付は、税務署や金融機関で用意されている納付書を使って税務署や金融機関でおこなう方法や、スマホアプリやクレジットカード、インターネットバンキングなどでおこなう方法があります。

また、QRコードを使ってコンビニで納付する方法もあります。

贈与税は原則として期限までに納付しなければなりませんが、納付が困難である理由があり、かつ一定の要件を満たしている場合は延納の制度を利用できます。

生前贈与をおこなう際の注意点

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生前贈与をおこなう際には、以下の点に注意する必要があります。

もし怠った場合には、追徴課税や加算税が発生する可能性があるので気をつけてください。

1.贈与の証拠を残す

生前贈与をおこなう際には、贈与の証拠をしっかり残すことが重要です。

贈与は「財産を無償で渡す」行為ですが、単に現金を手渡しするだけでは、後から税務署に否認される可能性があります。

そのため、贈与契約書を作成し、贈与の内容を明確にしておくことが望ましいです。

また、銀行振込を利用して履歴を残すと、確実な証拠になります。

特に相続対策として贈与をおこなう場合には、形式を整えておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

2.相続税の「持ち戻し」ルールに注意

生前贈与をおこなう際には、相続税の「持ち戻し」ルールに注意する必要があります。

これは、贈与者が亡くなる前の7年間におこなわれた贈与は、相続財産に加算され、相続税の計算対象になるという制度です

そのため、相続税対策として贈与をする場合は、早めに計画を立てることが重要です。

特に、高額な贈与をおこなう場合には、長期的な視点で贈与計画を立て、相続税の負担を軽減する方法を検討することが求められます。

3.申告期限厳守する

贈与税の申告は、毎年1月1日から12月31日までの贈与について、翌年の3月15日までに申告・納税しなければなりません。

申告を怠ると、追徴課税や加算税が発生する可能性があるため、期限内に確実に手続きをおこなうことが重要です。

特に、110万円を超える贈与をおこなった場合や、特例措置を利用する場合は、適切な申告が求められます。

贈与税の申告は専門的な知識が必要になることも多いため、不安がある場合は税理士などの専門家に相談するのが安心です。

4.贈与後は贈与者が財産を管理しない

贈与が成立するためには、財産の所有権が完全に受贈者(もらう人)に移る必要があります。

贈与後も贈与者(あげた人)が財産を管理し続けていると、実質的に贈与が成立していないとみなされ、税務署から否認される可能性があります。

たとえば、親が子供に預金を贈与したにもかかわらず、通帳や印鑑を親が管理し続けている場合は、贈与が認められないケースがあります。

そのため、贈与後は受贈者自身が財産を管理し、自由に使える状態にしておくことが大切です。

生前贈与のメリット

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生前贈与の主なメリットは以下の4つです。

1.節税につながる

生前贈与の仕組みをうまく使って早めに資産を子どもや孫に贈与しておけば、相続時にすべての資産に対して相続税が課税される場合よりも、課税額を抑えられます。

たとえば、贈与税の課税方式が暦年課税の場合、贈与を受ける人は年間110万円までは非課税になります。

自分の子ども3人に毎年110万円ずつを10年間贈与すると、3,300万円(=3人×110万円×10年間)を非課税で贈与できます。

2.子どもや孫に資金ニーズがある時期に資産を贈与できる

生前贈与では、スピーディーに子どもや孫に資産を渡すことができます。

子どもの結婚や住宅の購入、孫の子育て・教育に多くのお金が必要なタイミングが、自分が亡くなる前に訪れるケースは少なくありません。

相続を待たずに資産を渡すことができれば、自分の子どもはかなり助かるでしょう。

子どもや孫のことを思うなら、生前贈与に取り組むことをおすすめします。

3.認知症を患って適切な判断ができなくなるリスクを避けられる

認知症を患うと、適切な判断ができなくなります。

認知症は年齢が上がるにつれて発症リスクが高まるので、自分が健康なうちに生前贈与をおこなうべきです。

そうすれば、資産の贈与・相続に自分の意思をしっかりと反映することができます。

認知症を予防するためにバランスの良い食生活や十分な睡眠を心がけ、定期的な運動や脳トレをおこなっていても、認知症にかからないとは限りません。

4.相続時に起こりやすいトラブルを避けられる

自分が亡くなった後の相続では遺言書などによって遺産分割などがおこなわれます。

本人が亡くなっているため、遺言書の内容に不備があったり、記載が漏れていたりする資産があると親族間のトラブルにつながります。

生前贈与であれば本人が生きているため、そのような不備や漏れがあっても自分で対応できます。

生前贈与をおこなえば、親族間に不和が生じるリスクも減らせるでしょう。

生前贈与をおこなう際に可能な節税方法

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生前贈与をおこなう際に可能な節税の方法を解説します。

主な節税方法は以下の5つです。

1.贈与税の基礎控除を利用する

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間にもらった贈与額の合計から、基礎控除額の110万円を差し引いた金額に対して贈与税が課税される制度です。

これは、毎年110万円までの贈与であれば、贈与税がかからないということです。

長期間にわたって毎年贈与をおこなうことで、贈与税を抑えながら財産を移転できます。

ただし、毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、定期贈与とみなされて贈与税がかかる場合があるため注意が必要です。

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2.配偶者への贈与における非課税措置の特例

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与がおこなわれた場合、最大2,000万円まで贈与税が非課税になる特例です。

この特例を利用することで、夫婦間の財産移転を円滑におこない、相続税の負担を軽減できます。

ただし、同じ配偶者からの贈与については一生涯で一度しか利用できません。

また、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与を受けた配偶者が贈与を受けた居住用不動産に現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みがあることなどの適用要件があります。

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贈与税の配偶者控除の適用要件は?デメリットやメリットと注意点を解説

3.住宅取得等資金の贈与における非課税措置の特例

父母や祖父母などから、子や孫が住宅用の家の購入資金を贈与してもらった場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例です。

令和4年1月1日から令和5年12月31日までに贈与された場合、省エネ等住宅の場合には1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円までが非課税となります。

ただし、贈与を受ける年の1月1日において18歳以上であること、贈与を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどの適用要件があります。

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住宅取得資金贈与の非課税はタイミングが重要!その理由と注意点を解説

4.教育資金の一括贈与における非課税措置の特例

父母や祖父母などから、子や孫が教育資金の一括贈与を受けた場合、1,500万円まで贈与税が非課税になる特例です。

教育資金とは、学校等に支払う入学金や授業料、学習塾や習い事の費用などが含まれます。

この特例を利用することで、子や孫の教育資金を援助しやすくなります。

ただし、贈与を受ける年の1月1日において18歳以上30歳未満であること、贈与を受ける年の合計所得金額が1,250万円以下であることなどの適用要件があります。

5.結婚・子育て資金の一括贈与における非課税措置の特例

父母や祖父母などから、子や孫が結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合、1,000万円まで贈与税が非課税になる特例です。

結婚・子育て資金とは、結婚式の費用、新居の家賃、出産費用、育児用品の購入費用などが含まれます。

この特例を利用することで、子や孫の結婚・子育てを支援しやすくなります。

ただし、贈与を受ける年の1月1日において18歳以上50歳未満であること、贈与を受ける年の合計所得金額が1,250万円以下であることなどの適用要件があります。

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まとめ

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生前贈与の基礎知識ややり方、流れを知っておけば、トラブルなく円滑に生前贈与を完了させることができます。

贈与のたびに贈与者と受贈者の間で契約書のやり取りなどが発生するので、契約書を作り直すことがないよう、事前にしっかり準備しておきましょう。

また、贈与税や不動産取得税の納付が遅れると延滞金が課せられることがあるので、注意してください。

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岡本一道
岡本一道(著者)
日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける。