1,000万円の贈与税はいくら?税率・計算方法をわかりやすく解説
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資産を贈与する際、そのタイミングや方法、評価額によっては資産を受け取る側に贈与税が課税されます。

課税額を抑えるためには、贈与税の基礎知識が必要です。

本記事では1,000万円相当の財産を贈与するケースを取り上げ、贈与財産の評価額の計算方法を解説します。

また、一般税率・特例税率の贈与税額の計算例、非課税措置の特例を利用した節税方法などについても包括的に解説します。

この記事でわかること
  • 贈与税は、個人が年間110万円を超えて贈与された場合に課税される。
  • 贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの制度がある。
  • 1,000万円の贈与に対する贈与税額は、税率や控除額によって異なる。

目次

  1. 贈与税と相続税の違い
  2. 贈与税の課税制度
  3. 暦年課税における税率と控除額
  4. 贈与財産の価額の計算方法
  5. 一般税率における贈与税額の計算例
  6. 特例税率における贈与税額の計算例
  7. 暦年課税における節税方法
  8. 相続時精算課税制度や特例を利用した節税方法
  9. まとめ

【損をしないための贈与税ガイドブック】

贈与税と相続税の違い

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贈与税と相続税の違いがよくわからないという人は少なくありません。

そこでここでは、基本情報として贈与税と相続税の違いを解説します。

贈与税とは

贈与税と相続税は、どちらも財産の移転に関連する税金ですが、課税のタイミングや対象が異なります。

贈与税は、個人が他の個人に財産を贈与した際に課される税金で、贈与を受けた側が納税義務を負います。

贈与税は、贈与された財産の価額から基礎控除(現在110万円)を差し引いた額に対して課税され、税率は10%から55%の超過累進税率が適用されます。

贈与税は、贈与が行われた年の翌年に申告が必要です。

相続税とは

相続税は、亡くなった人の財産を相続する際に課される税金で、相続人が納税義務を負います。

相続税は、相続財産の総額から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた額に対して課税され、税率は10%から55%の超過累進税率が適用されます。

相続税は、相続開始から10ヵ月以内に申告が必要です。

このように、贈与税は生前の財産移転に、相続税は死亡後の財産移転に関連する税金です。

【贈与税と相続税の違い】

項目 贈与税 相続税
発生のタイミング 生きている人から財産をもらったとき 被相続人が死亡したとき
課税対象 年間110万円を超える贈与額 相続財産の総額から基礎控除額を引いた額
課税対象者 受贈者(財産をもらった人) 相続人(遺産を受け取る人)
基礎控除額 年間110万円 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
税率 10%〜55%の超過累進税率 10%〜55%の超過累進税率
申告期限 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで 相続開始から10ヵ月以内
特例 教育資金の一括贈与
住宅取得資金の贈与などの特例
配偶者控除
小規模宅地等の特例 など
目的 生前に財産を移転する際に課税される 財産の相続時に課税される
納税義務者 受贈者が納税義務を負う 相続人が納税義務を負う

贈与税の課税制度

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贈与税の課税制度には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。

簡単にいえば、次のような違いがあります。

暦年課税 1年間の贈与額をもとに贈与税額が決定され都度税金の支払いをおこなう仕組み
相続時精算課税 相続時まで税金の支払いを先送りできる仕組み

以下で詳しく解説します。

暦年課税

暦年課税とは、1年間(1月1日から12月31日)に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税されます。

贈与者は誰でもなれ、受贈者も制限がありません。

贈与税率は累進課税で、贈与額が大きくなるほど税率が上がります。

贈与が110万円以下の場合は申告が不要ですが、超えた場合は申告が必要です。

また、相続開始前3年以内に贈与された財産は相続財産に加算されることがあります。

相続時精算課税

相続時精算課税は、特定の条件を満たす贈与者(60歳以上の父母または祖父母)から、18歳以上の子や孫に対して適用される制度です。

この制度では、贈与を受けた財産が累計2,500万円まで非課税となりますが、超えた部分には一律20%の贈与税が課税されます。

贈与時の価格で相続財産に加算されるため、相続税の計算時に贈与額が影響します。

一度選択すると暦年課税には戻れないため、慎重な選択が求められます。

相続時精算課税は、相続時まで税金の支払いを先送りできる仕組みといえます。

関連記事
暦年課税とは?相続時精算課税との違いと注意点を解説【贈与税の知識】

暦年課税における税率と控除額

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続いては、暦年課税のもとで贈与をおこなうケースを説明します。

暦年課税の計算方法

暦年課税では、1年単位で贈与税額を計算します。

具体的には、贈与を受けた人の1年間の贈与財産の評価額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて、課税価格(課税対象となる金額のこと)を算出します。

その後、「一般税率」または「特例税率」を適用し、贈与税額を計算します。

一般税率は、「父母や祖父母などの直系尊属以外から贈与を受けた場合」や「贈与を受ける人の年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳未満である場合」に適用されます。

一般税率の対象となる財産を「一般贈与財産」と呼びます。

特例税率は「父母や祖父母などの直系尊属から財産の贈与を受けた場合」で、かつ「贈与を受ける人の年齢が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以うえである場合」に適用されます。

特例税率の対象となる財産を「特例贈与財産」と呼びます。

・一般税率の場合

一般税率が適用されるケースにおける贈与税の速算表は以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

上記の表における「基礎控除後の課税価格」は、1年間の贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いて計算される金額です。

その金額に「税率」を乗じ、「控除額」を差し引いて贈与税が計算されます。

計算式は以下のとおりです。

(1年間の贈与の合計額 − 基礎控除額110万円) × 税率 − 控除額

・特例税率の場合

特例税率が適用されるケースにおける贈与税の速算表は、以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

特例税率が適用されるケースの贈与税の計算式も一般税率の場合と同様です。

(1年間の贈与の合計額 − 基礎控除額110万円) × 税率 − 控除額

2つの速算表を使って計算してみると、一般税率よりも特例税率のほうが、課税負担が小さくなっていることがわかります。

基礎控除後の課税価格が500万円のケースで考えてみましょう。

一般税率 (500万円 − 基礎控除額110万円) × 30% − 65万円 = 52万円
特例税率 (500万円 − 基礎控除額110万円) × 20% − 30万円 = 48万円

一般税率が適用される場合は課税額が52万円となりますが、特別税率の場合は課税額が48万円となります。

贈与財産の価額の計算方法

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一般税率が適用されるケースでも特例税率が適用されるケースでも、1年間で贈与を受けた贈与財産の価額を計算する必要があります。

贈与財産の価額の計算方法は、贈与財産が現金なのか、不動産なのか、上場株式なのか、非上場株式なのか、などによって変わります。

ちなみに、贈与を受けた財産でなくても贈与を受けたとみなされることもあります。

以下がその主なケースです。

・適正な対価の負担なく委託者以外の人を受益者とする信託がおこなわれた場合の信託受益権
・保険料を負担した人以外の人が受け取った保険金

一方で、贈与を受けた財産であっても贈与税がかからないケースもあります。

以下がその主なケースです。

・扶養義務者相互間で教育費や生活費に充てるために贈与を受けた財産で通常必要と認められる範囲内のもの
・社交上の香典や贈答品などで社会通念上相当と認められるもの

それでは各ケースを見ていきましょう。

1.贈与財産が現金の場合

贈与財産が現金の場合は、現金の額がそのまま贈与財産の価額となります。

現金1,000万円の場合、その贈与財産価額は1,000万円です。

2.贈与財産が不動産の場合

贈与財産が不動産の場合は、土地と建物それぞれについて価額の評価方法が決まっています。

土地が宅地の場合は「路線価方式」または「倍率方式」で計算されます。

路線価が定められているエリアの宅地には路線価方式、それ以外のエリアの宅地には倍率方式が適用されます。

路線価とは道路に面する宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、都市部では路線価が定められています。

・路線価方式の計算式

路線価方式における計算式は以下のとおりです。

路線価方式の計算式 路線価 × 奥行価格補正率 × 面積 = 評価額

・倍率方式の計算式

倍率方式における計算式は以下のとおりです。

固定資産評価額は市役所や町村役場で、倍率は国税庁の公式サイトで確認できます。

倍率方式の計算式 固定資産税評価額 × 倍率 × 評価額 = 評価額

家屋の評価方法はどうでしょうか。

自分が使用している家屋の場合は、原則として固定資産税評価額を使って計算します。

借家の場合は、固定資産税評価額に借家権割合と賃貸割合を乗じた金額を固定資産税評価額から差し引いて計算します。

3.贈与財産が上場株式の場合

続いて、贈与財産が上場株式の場合について説明します。

上場株式の場合、以下の4つの価額の中で価額が最も低いものが適用されます。

1.贈与を受けた日の終値
2.贈与を受けた月の毎日の終値の月平均額
3.贈与を受けた月の前月の毎日の終値の月平均額
4.贈与を受けた月の前々月の毎日の終値の月平均額

証券会社などを通じて株式投資をおこなっている人は、しっかり理解しておきましょう。

4.贈与財産が非上場株式の場合

贈与財産が非上場株式の場合はどうでしょうか。

非上場株式の場合は、その株式を発行している会社の規模や株主の態様、資産の構成割合などによって変わります。

計算方式は以下の4つです。

1.類似業種比準方式
2.純資産価額方式
3.1と2の併用方式
4.配当還元方式

これらの他に自動車や骨董品などの贈与を受けるケースも考えられますが、その場合は類似品のその時点の売買価格や専門家の意見などを参考にして評価金額が算出されます。

一般税率における贈与税額の計算例

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ここまでで説明した知識を使うと、ある1年間に1,000万円相当の財産贈与を受ける場合の贈与額を計算できます。

一般税率の場合も特例税率の場合も、以下の式で計算されることを思い出しながら読み進めてください。

(1年間の贈与の合計額 − 基礎控除額110万円) × 税率 − 控除額

まず、一般税率のケースで考えてみましょう。

速算表を再掲します。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

現金1,000万円を贈与するケース

現金1,000万円を贈与する場合は、以下のように計算します。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 40% − 125万円 = 231万円

上場株式1,000万円を贈与するケース

上場株式を贈与するケースで、前述の4つの方法で計算したうえで最も低い価額が1,000万円だった場合は、以下のように計算します。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 40% − 125万円 = 231万円

価値が1,000万円の不動産を贈与するケース

続いて、価値が1,000万円と算出された不動産を贈与するケースを考えてみましょう。

現金や不動産と同様、以下のように計算します。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 40% − 125万円 = 231万円

現金でも上場株式でも不動産でも、評価額が1,000万円であれば贈与税は231万円になります。

特例税率における贈与税額の計算例

続いて、特例税率が適用される場合の贈与税額の計算方法を説明します。

特例税率の速算表を再掲します。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

現金1,000万円を贈与するケース

現金1,000万円を贈与するケースの税額は、以下のとおりです。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 30% − 90万円 = 177万円

上場株式1,000万円を贈与するケース

上場株式を贈与するケースで、4つの方法で計算したうえで最も低い価額が1,000万円だった場合の税額は、以下のとおりです。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 30% − 90万円 = 177万円

価値が1,000万円の不動産を贈与するケース

不動産の価額の計算方法に則って算出された評価額が1,000万円の場合は、以下のとおりです。

(1,000万円 − 基礎控除額110万円) × 30% − 90万円 = 177万円

特例税率の場合も一般税率の場合と同様に、現金でも上場株式でも不動産でも贈与税の税額は同じです。

1,000万円の贈与で課税される税金は、177万円となります。

つまり1,000万円の贈与を受ける場合、税額は一般税率(贈与税額231万円)よりも特例税率(贈与税額177万円)のほうが54万円少なくなります。

暦年課税における節税方法

ある1年間に1,000万円の評価価額の贈与を受ける際の税額の計算方法を説明しましたが、覚えていただきたいことが1つあります。

それは、暦年課税では、1年ごとに毎年110万円の基礎控除を受けられるため、たとえば以下のように10年間にわたって贈与が行われた場合でも贈与税が課税されないということです。

贈与価額 贈与税
1年目 110万円 0円
2年目 110万円 0円
3年目 110万円 0円
4年目 110万円 0円
5年目 110万円 0円
6年目 110万円 0円
7年目 110万円 0円
8年目 110万円 0円
9年目 110万円 0円
10年目 10万円 0円
合計額 1,000万円 0円

毎年決まった金額を贈与することを決めている「定期贈与」と判断された場合は贈与税が課税されますが、暦年課税に関する知識として覚えておいてください。

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相続時精算課税制度や特例を利用した節税方法

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最後に、相続時精算課税制度を選択した場合や、非課税措置の特例を利用した場合の節税方法を説明します。

1.相続時精算課税制度

この記事の最初に、贈与税の課税方式として「相続時精算課税」を選べることを説明しました。

相続時精算課税では累計2,500万円までの贈与が非課税となり、2024年1月からは毎年110万円の基礎控除も設けられました。

単純に税率だけを比較すると、2,500万円以上の贈与をおこなう場合は暦年課税では課税対象分に45〜55%の税率が適用されます。

一方で相続時精算課税制度では20%の税率が適用されるため、贈与額が大きい場合は相続時精算課税制度を選択したほうがよいことになります。

ただし、ここでも覚えていただきたいことがあります。

それは、相続時精算課税を選択した場合は自分が亡くなって相続が発生した際に、生前贈与した財産と相続財産の価値を合わせて相続税が計算されるため、課税が先送りされることです。

2.配偶者控除に関する非課税措置

贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその購入資金を贈与する際に適用される特例です。

通称「おしどり贈与」とも呼ばれています。

贈与税の配偶者控除が適用される条件は以下のとおりです。

1.婚姻期間が20年以上である
贈与をおこなう時点で、婚姻届を提出してから20年以上経過している必要がある。

2.居住用不動産またはその取得資金の贈与である
贈与される財産が居住用不動産(土地・建物)またはその購入資金である必要がある。

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住している
贈与を受けた配偶者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。

4.同一の配偶者から過去にこの特例を受けていない
同じ配偶者から過去に贈与税の配偶者控除を受けたことがないこと。

この制度により、最大2,000万円までの贈与が非課税となります。

さらに、贈与税の基礎控除である110万円と併用することで、合計2,110万円まで非課税で贈与することが可能です。

配偶者控除を利用するためには、贈与を受けた不動産に贈与を受けた年の翌年3月15日までに住む必要があります。

また、この控除は同じ配偶者からの贈与について1回限りの適用となります。

贈与税の配偶者控除は、相続税対策としても有効ですが、相続税の軽減には直接的な効果は少ないため、計画的な利用が求められます

つまり、この特例が当てはまる場合は1,000万円相当の贈与でも贈与税額は0円になります。

出典:国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

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贈与税の配偶者控除の適用要件は?デメリットやメリットと注意点を解説

3.住宅取得等資金に関する非課税措置

贈与税の住宅取得等資金に関する非課税措置は、直系尊属(父母や祖父母)から住宅の新築、取得、増改築のための資金を贈与された場合に適用される制度です。

この特例により、贈与を受けた金額が最大1,000万円まで非課税となります。

ただし、非課税限度額は住宅の種類によって異なり、省エネ等住宅の場合は1,000万円、それ以外の住宅では500万円までとなります。

この特例を利用するためには、受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であり、合計所得金額が2,000万円以下であることが求められます。

また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用の家屋に居住することが必要です。

さらに、贈与税の申告をおこなわなければならず、申告を怠ると特例が適用されないため注意が必要です。

参考:国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

4.教育資金の一括贈与に関する非課税措置

贈与税の教育資金の一括贈与に関する非課税措置は、直系尊属(祖父母や父母)から30歳未満の子や孫に対して、教育資金を一括で贈与する際に適用される制度です。

この制度により、受贈者1人につき最大1,500万円までの贈与が非課税となります。

ただし、学校以外の教育資金(塾や習い事など)は500万円までが非課税の対象です。

この非課税措置を利用するためには、贈与者と受贈者が金融機関で教育資金管理契約を結び、専用口座を開設する必要があります。

贈与された資金は、教育に関連する支出に充てることが求められ、領収書の提出が必要です。

受贈者が30歳に達した時点で契約は終了し、残額には贈与税が課税される場合がありますが、在学中であれば契約を延長できる特例もあります。

この制度は、相続税対策として非常に有効です。

参考:国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

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孫へ教育資金を生前贈与するメリットと贈与の方法や注意点を解説

5.結婚・子育て資金に関する非課税措置

贈与税の結婚・子育て資金に関する非課税措置は、直系尊属(祖父母や父母)から18歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚や子育てに必要な資金を一括で贈与する際に適用される制度です。

この制度により、受贈者1人につき最大1,000万円までの贈与が非課税となります。

なお、結婚に関連する費用については300万円が限度です。

この非課税措置を利用するためには、贈与者と受贈者が金融機関で結婚・子育て資金管理契約を結び、専用口座を開設する必要があります。

贈与された資金は、教育や結婚に関連する支出に充てることが求められ、領収書の提出が必要です。

受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、非課税措置の適用を受けられません。

また、贈与契約の締結は2025年3月31日までにおこなう必要があります。

ただし、制度の延長や改正がおこなわれる可能性があります。

この制度は、若年層の結婚や子育てを支援するために設けられています。

参考:国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

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まとめ

1,000万円の贈与税はいくら?税率・計算方法をわかりやすく解説
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贈与税は、個人が年間110万円を超える財産を受け取った際に課税される税金であり、贈与の方法や金額によって税額が異なります。

本記事では、1,000万円の贈与を受けるケースについて、一般税率・特例税率を適用した贈与税額の計算方法を詳しく解説しました。

一般税率では231万円、特例税率では177万円の税額が発生することがわかります。

また、相続時精算課税制度や配偶者控除、住宅取得資金の非課税措置など、節税対策の選択肢も紹介されています。

特に、暦年課税を活用して長期に分割贈与することで、税負担を軽減することが可能です。

贈与税の仕組みを理解し、適切な制度を選択することで、将来的な財産移転を効率的に進めることができます。

本記事の内容を参考にし、専門家と相談しながら最適な方法を検討することを推奨します。

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岡本一道
岡本一道(著者)
日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける。