不動産投資というと高額商品である収益物件を購入することになるため、少額から始めるのは難しいと感じているのではないでしょうか?
実際には1万円から始められる不動産投資はあります。
そこで当記事では3%以上の利回りが期待できる「不動産投資」を3つ紹介します。
- 不動産クラウドファンディング
- 不動産ソーシャルレンディング
- REIT(リート)
また、数万円にまで範囲を広げておすすめの「不動産投資」を2つ紹介します。
- 区分マンション・アパート投資
- 不動産小口化商品
不動産への投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
- 1万円から可能な不動産投資の平均利回りやメリット
- 1万円から可能な不動産投資のリスクと始め方
- 数万円から可能な不動産投資のメリット
目次
1万円から不動産投資ができる方法3選
冒頭では1万円から不動産投資は可能と述べました。
しかし、「1万円で不動産投資なんて本当?」と懐疑的な方もいるかもしれません。
そこで、最初に1万円から不動産投資ができる方法を3つ紹介します。
1.不動産クラウドファンディング|集めた資金で不動産を購入・運用し利益を分配
ビジネスや慈善事業、新商品開発プロジェクトなどへの出資をネット上で募る仕組みのことを、クラウドファンディングといいます。
単に寄附を募るタイプや、事業に必要な資金を募集して利益を分配するタイプまで、さまざまな種類があります。
不動産クラウドファンディングはこの仕組みを応用したもので、出資者から集めた資金を用いて不動産を購入・運用し、その利益を分配します。
不動産クラウドファンディングであれば1万円から投資できる案件が多く、その一方で現物不動産の裏付けがあることからリスクにも強いなどのメリットがあります。
「1万円で不動産投資」といえば、不動産クラウドファンディングがその代表格といってもよいかもしれません。
2.不動産ソーシャルレンディング|企業や個人への融資
不動産を運用したいと考えている企業などにネットを介してお金を貸す仕組みが、ソーシャルレンディングです。
上記のクラウドファンディングと似た仕組みですが、ネットを介して「お金を融資する」ところが大きな特徴です。
クラウドファンディングとソーシャルレンディングの主な違いは以下のとおりです。
クラウドファンディング | ソーシャルレンディング | |
---|---|---|
目的 | プロジェクトの資金調達 | 企業や個人への融資 |
資金の使途 | プロジェクトの企画・開発・運営など | 企業の運転資金、設備投資など |
リターン | 支援者へのリターン(分配金やお礼品) | 融資した元金と利息 |
リスク | プロジェクトの失敗、運営会社の倒産 | 貸付先企業の倒産 |
運用期間を終了すると、貸し手である投資家は元本に利息を加えたお金を受け取り、利息分が利益となります。
運用対象が不動産の場合は不動産ソーシャルレンディングといいますが、不動産以外にも幅広く応用されています。
それらはソーシャルレンディングもしくは融資型(貸付型)クラウドファンディングとも呼ばれています。
3. REIT(リート)|東証REIT指数連動型のETF は数千円で購入が可能
投資信託のなかでも運用対象が不動産のものをREIT(不動産投資信託)といいます。
さらに、REITのなかでも東京証券取引所に上場しているものはJ-REITと呼ばれています。
J-REITは上場しているため取引時間中は株式のように価格が変動します。
運用している不動産の価値が上昇したり、不動産市場全体に追い風が吹くと価格が上昇するため、その値上がりを狙うことができます。
また、不動産で運用していることから定期的に分配金が支払われます。
保有し続けると家賃収入にも似た、間接的な不動産投資の効果が得られます。ただし、J-REITの個別銘柄には1万円で買えるものがありません。
ここではJ-REIT全体の値動きと連動するように運用されている東証REIT指数連動型のETFをおすすめします。これなら1口数千円で購入可能です。
不動産クラウドファンディングなら優良物件に1万円から投資可能
ここでは、先ほど「1万円でできる不動産投資の代表格」として紹介した、不動産クラウドファンディングについて詳しく解説していきます。
とても人気が高く今後も市場が拡大していく見通しなので、ぜひこの機会に不動産クラウドファンディングを理解しておきましょう。
1.不動産クラウドファンディングで期待できる利回りは平均4%〜5%程度
不動産クラウドファンディングの利回りは案件によって千差万別ですが、少なくとも3%台からで、多くの案件は4%、5%程度が確保されています。
それほど数が多くはありませんが、7%を超えるような案件も見られます。
超低金利時代において、これだけの利回りがそれほど珍しくないというのは、不動産クラウドファンディングが人気を集める原動力となっています。
2.知っておくべきリスク|元本は保証されていない
利回りの高さが魅力の不動産クラウドファンディングですが、元本保証の商品ではありません。
現物不動産の裏付けがあるため比較的低リスクではありますが、元本割れのリスクがゼロではない点は留意しておく必要があるでしょう。
また、可能性は極めて稀ではありますが、運営会社の倒産などによって出資したお金が戻ってこない可能性についても、念のために留意しておくべきでしょう。
3.不動産クラウドファンディングの始め方
不動産クラウドファンディングを始める大まかな流れは、以下のとおりです。
① 運営会社のサイトを選ぶ
② 投資したい案件があれば、そのサイトで投資家登録をする
③ 運営会社による審査
④ 審査通過の上で、案件に応募する
⑤ 必要な資金を入金する
⑥ 運用益の支払を待つ
最初に投資をしてしまえば、あとは待つだけです。この手軽さも不動産クラウドファンディングの魅力といえます。
4.優良案件の競争率は非常に高い
とても人気の高い不動産クラウドファンディングですが、実際のところはどうなのでしょうか。
主要な不動産クラウドファンディング運営会社ではほとんど元本割れを起こしておらず、一定の安定性は確保されています。
しかしながら、それゆえに投資家からの人気がとても高く、先着順の案件は「クリック合戦」の様相を呈しています。
抽選によって投資できるかが決まる案件についても競争倍率が高く、魅力のある商品ではあるものの、なかなか投資できないところがネックです。
投資できなかったとしても損をするわけではないので、投資できるまで何度も応募してみて気長に待つスタンスがよいでしょう。
不動産ソーシャルレンディングは投資をした時点で利息額が確定する
不動産ソーシャルレンディングは、手軽に「お金を融資」することができる商品です。
お金を貸しているだけであって運用に参加するわけではないので、投資をした時点で利息額、つまり予定通りの運用になった場合の運用益が確定するのがひとつの特徴です。
1.不動産ソーシャルレンディングで期待できる利回りは高いもので7%〜8%
不動産ソーシャルレンディングの利回りは、おおむね不動産クラウドファンディングと似ています。
4%台や5%台の案件が多く、高いものでは7%台、8%台の案件も見られます。
2.知っておくべきリスク|企業が倒産し貸し倒れになる可能性がある
不動産ソーシャルレンディングについても、不動産クラウドファンディングと同様に元本割れのリスクがあります。
投資した案件が想定どおりの運用とはならなかった場合、最初に提示されていた利回りに達しない可能性がありますし、元本割れになってしまう可能性もあります。
また、貸金なので最悪の場合は企業が倒産し貸し倒れになってしまい、償還されない(お金が戻ってこない)こともリスクとして留意しておく必要があります。
3.不動産ソーシャルレンディングの始め方
不動産ソーシャルレンディングの始める大まかな流れは、以下のとおりです。
① 運営会社サイトに口座を開設する
② 希望する案件に申し込む
③ 運営会社による審査
④ 投資に必要な資金を入金する
⑤ 元本と利息の支払いを待つ
こちらも不動産クラウドファンディングと同様に、入金して投資をしたらあとは待つだけです。
特に不動産ソーシャルレンディングの場合はお金を貸しているだけなので、貸したお金が利息とともに返済されるのを待つというイメージです。
4.優良案件の競争率は非常に高い
不動産ソーシャルレンディングについては、以前は元本割れや運営会社の破産、遅延などの案件が多発したため、商品自体の信用が損なわれる事態になったことがあります。
しかしその後、経営基盤が脆弱な運営会社や利益見通しの甘い案件などの淘汰が進んだため、現在運営している主要な不動産ソーシャルレンディングの事業者は比較的安全と見てよいでしょう。
ただし、今も標準的な利回りの相場を逸脱するような高利回りを謳う怪しげな案件や詐欺まがいの案件も散見されるため、利回りだけで投資先を決めるのはハイリスクです。
リスク面を考慮すると、同じ価値観での投資をするのであれば上記の不動産クラウドファンディングのほうが安全性は高いかもしれません。
REITは上場している安心感と継続性が魅力
REITのなかでもJ-REITは証券取引所の厳しい上場基準を満たしていることから運用の透明性が高いことで知られています。
また、J-REITの運用をする投資法人は運用益の90%以上を投資家に分配すると法人税が免除されるルールがあるため、配当性向が高いのも魅力的です。
1. REITで期待できる利回りは4%台
2024年6月時点で、J-REITの平均分配金利回りは4%台です。6月10日時点では、4.69%です。
これは平均的な数値で、長期的に4%台、もしくは4%前後で推移しています。
J-REITには住居主体型や事務所主体型、ホテル主体型など運用する不動産によるカテゴリー分けがあります。
また、複数のカテゴリーにまたがって運用する複合型や総合型もあります。
J-REIT全体の値動きを示す東証REIT指数と連動するETFであれば、これらのさまざまなカテゴリーすべてを含んでいるため分散性が高いといえます。
また、個別のJ-REIT銘柄や運用している不動産の価値が毀損することがあっても、J-REIT市場全体への影響は軽微です。
この高い分散性をいかして長期的に運用することが、J-REIT投資の本質といえるでしょう。
上記の不動産クラウドファンディングや不動産ソーシャルレンディングはいずれも運用期間が決まっていますが、J-REITには期限がありません。
投資法人が運用を終了もしくは投資法人そのものがなくならない限り運用が続くため、長期運用向きです。
2.知っておくべきリスク|元本保証ではない
分散性や安定性に優れたJ-REITですが、元本保証ではないため、購入時よりも値下がりすることによって元本割れのリスクがあります。
ただし、分配金利回りが安定しているので、長期保有して分配金を蓄積することで値下がりリスクへの対策が可能です。
また、東証REIT指数と連動するETFの場合は分散性に優れています。
しかも日本の優良不動産で運用するJ-REITで構成されているため、値下がりはあっても無価値になることは考えにくいでしょう。
3.REITの始め方
東証REIT指数と連動するETFは、株式と同じように証券会社の口座で売買が可能です。
同指数と連動するETFは多くの銘柄が上場していますが、当記事のテーマは「1万円からの不動産投資」です。
仮にETFの価格が2024年6月の水準で1,800円だとします。
最小売買単位が100株だと18万円が必要になるため、1万円を超えてしまいます。
そこで、1口単位で売買ができる下記の代表的な銘柄を2つ紹介します。
銘柄名 | 銘柄コード | 分配金の支払サイクル |
---|---|---|
iシェアーズ・コア Jリート ETF | 1476 | 3ヵ月に1回 |
上場インデックスファンドJリート (東証REIT指数)隔月分配型(ミニ) |
2552 | 隔月 |
4.REITは分散性の高く非課税メリットがある新NISAなどでも購入可能
当記事でおすすめしている東証REIT指数連動型ETFの場合、分配金利回りは4%前後、もしくは4%台です。
不動産クラウドファンディングや不動産ソーシャルレンディングだとそれ以上の利回りが期待できる案件もあるため、利回りだけで比較するとやや見劣りする部分があります。
しかしながら分散性の高さや、非課税メリットがある新NISAなどでも購入できるため、長期投資に適しています。
今後は金利が上昇する可能性が高く、そうなると不動産ファンドであるREITには逆風となり価格が下がりやすい地合いとなります。
値下がりを買い増しのチャンスと捉えることができるのであれば、有望な選択肢といえます。
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不動産投資でREITはおすすめ?他の不動産投資と比較
数万円からできる少額不動産投資2つ
ここまでは「1万円で不動産投資」をテーマに、3つの方法論を紹介してきました。
最後に、「1万円」を「数万円」にまで広げて、おすすめしたい不動産投資を2つ紹介したいと思います。
1.区分マンション・アパート投資|ローンを組めば月々数万円から可能
一棟マンションを購入するとなると億単位の投資になりますが、区分マンションといってマンションの一室を購入する投資であれば、数千万円で購入できます。
また、アパートであれば一棟であっても数千万円から購入可能です。
こうした比較的安価な収益物件をローンで購入する現物不動産投資であれば、月々の返済額は数万円程度に抑えることも可能です。
購入時に物件価格に対して1割から2割程度の自己資金が必要になるケースが大半です。
その数百万円の自己資金を用意できる方であれば、区分マンションもしくはアパートの投資が視野に入ります。
ただし、現物不動産投資は購入する物件を自身で選ぶ必要があるため、一定の目利きが求められます。
物件選びは、信頼できる不動産会社と組むことができれば、投資するべき物件の提案やアドバイスを受けられるため、初心者でも成功しやすいでしょう。
そのため、現物不動産投資では物件選びと同様に不動産投資に強い不動産会社選びも重要です。
2.不動産小口化商品|一つの不動産を一口数万円程度に小口化
次に紹介するのは、不動産小口化商品です。
不動産小口化商品は、個人投資家だけで購入するには高額すぎて手が届かないような優良物件を小口化して購入しやすくした商品です。
当記事で紹介している「1万円で不動産投資」ができる3つの商品も個人が投資をしやすいように小口化されている点では同じです。
不動産小口化商品と呼ばれているものは不動産の権利を小口化しているため、ファンドの組成形態によっては投資家が所有者の1人になる場合もあります。
さまざまなカテゴリーの優良不動産を小口化したものが販売されており、そのなかでもユニークなのは東京など大都市圏の都心にあるオフィスの小口化商品です。
通常、オフィスビルというと数十億円単位の価格になりますが、それを小口化することで個人投資家でも投資可能になっているものがあります。
アパートやマンションといった住居物件とは違うメリットが期待できるので、投資のポートフォリオを多様化する意味でも検討の価値があります。
関連記事
不動産小口化商品とREITの違いは?それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説
まとめ
当記事では、不動産クラウドファンディング、不動産ソーシャルレンディング、そしてREITを紹介しました。
いずれも本当に1万円から投資が可能で、多くの投資家から人気を集めているものばかりです。
また、最後には「1万円」から少し間口を広げて「数万円」で始められる不動産投資として、区分マンションとアパートの現物不動産投資、そして不動産小口化商品を紹介しました。
それぞれメリットやデメリットが異なるため、ご自身の投資方針や目的に合ったものを選ぶのに当記事の情報をお役立てください。